破滅派は2007年結成、2010年には株式会社として創業した。いわゆるISBNのつかない同人誌を出してはきたが、一般書店に流通する商業出版は2021年まで手掛けてこなかった。破滅派創刊宣言にある通り、商業出版をすることは破滅派の第一目的ではなかったとはいえ、やはり商業出版をして多くの人の手に届いてほしいという願いもまた文学者として常に持ちづづけていた。そうして出したのが、いまのところ以下の3冊である。

ちなみに、4冊目はいまごろ出ている予定だったが、難航しており来年3月ぐらいになりそうである。

いざ2021年に商業出版を開始しようと決断するにあたって、当然ながら事前に情報収集を行なった。私がこれまで読んできた「出版ビジネス本」の知識も役に立ったが、いまは2022年、インターネットで情報を収集する方がやはり早い。私がとりわけ役立つと感じたのは出版社クラーケンの出版社のつくり方(クラーケンの場合)である。ちょっとした縁から代表の鈴木さんとはすでにお会いしていたのだが、2021年にもう一度出版業を本格的に始めようと調査を始めた際にやはりネットで見つける情報は手軽かつ情報鮮度がわかりやすく、参考になった。これはなにがしかのことだった。Googleで検索すると、出版社を作るための方法がポンっと手に入る。手軽に手に入る情報は信用ならないと考えるむきもあるだろうが、やはり、ちょっとしたきっかけから出版業を始めてしまう蛮勇にこそ新しい時代を切り拓く可能性があると私は思うのだ。

そんなわけで、本連載ではこれまで破滅派が経験してきた情報を共有することで、これから出版社を始めようと思っている人々の一助となるような記事を書いていきたい。以下、おしながきである。

  1. なぜこの連載を始めるのか(この記事)
  2. 出版社をデザインする
  3. 商流と金の動きを理解する
  4. 読者に届けるまでのパートナーを見つける——著者、印刷会社、取次、書店
  5. 本はどのように売れるのか?
  6. 出版業における電子書籍の役割
  7. 既存の出版ビジネスに対する挑戦

実際の連載では多少増える可能性がある(特に実務を紹介する部分)が、基本的にはこの路線で行く予定だ。年内には連載を完結させる予定である。本連載の更新を知るには、破滅派のtwitter私のtwitterをフォローしていただくと手っ取り早いだろう。

それでは、結成から15年が経った破滅派のすべて御笑覧いただければ幸いである。