4月22日、「ドン・キホーテ」で有名なミゲル・セルバンテスの出身地であるアルカラ・デ・エナーレスの大学において、フェリペ国王夫妻ら来賓が見守る中、クリスティーナ・ペリ・ロッシがセルバンテス賞を受賞した。

セルバンテス賞は、「ドン・キホーテ」の作者であるミゲル・セルバンテスに因んだスペイン語圏で最も栄誉ある文学賞の一つであり、人生を通してスペイン語文学の発展に寄与した人物に与えられる。1976年に創設されて以来、スペインと中南米の著名な作家を表彰し続けており、今回で45回目となる。賞金は125,000ユーロ(約1700万円)。

クリスティーナ・ペリ・ロッシ(Cristina Peri Rossi.,1941~)は1941年に南米ウルグアイのモンテビデオで生まれた。1960年代より創作活動を始めるが、ウルグアイの軍事政権により1972年に追放され、1975年にスペイン国籍を得た。以後はバルセロナを拠点にジャーナリストとしての活動も行う。作品には、独裁への抵抗や、フェミニズム・同性愛者の権利を強く求める姿勢が現れている。クリスティーナ・ペリ・ロッシの最も知られている作品は、1984年に出版された『La nave de los locos』(狂人の船)である。これは作者自身の経験や南米の軍事政権による弾圧などの影響を受け、21のエピソードからなる旅行記の形式をとった実験小説となっている。2018年に邦訳が出版されている。