川上未映子の長編小説『ヘヴン』が7日に、英国のブッカー賞翻訳書部門にあたる「ブッカー国際賞」最終候補6作品に選ばれた。受賞作の発表は5月26日(現地時間)に行われ、受賞すれば日本人で初めてとなる。

同賞は2005年に創設。20年に小川洋子の『密やかな結晶』が最終候補に選ばれたが、受賞は逃している。

『ヘヴン』はクラスでいじめを受ける14歳の少年を主人公に、善悪の根源を問う物語。2009年に講談社から単行本が出版され、芸術選奨文部科学大臣新人賞・紫式部文学賞をダブル受賞している。サム・ベットとデビッド・ボイドの翻訳による英語版は昨年刊行された。

川上は同日、自身のTwitterで「『ヘヴン』が、ブッカー国際賞の最終候補に選ばれました。読んでくださった読者のみなさん、あの物語を大事に思ってくださっていた読者のみなさん、本当に、心からありがとう。」と感謝の意を綴っている。

今年最終候補に選出されたのは、『ヘヴン』のほか、アルゼンチンのクラウディア・ピネイロ『Elena Knows』、ノルウェーのヨン・フォッセ『A New Name: Septology VI-VII』 、インドのジータンジャリ・シュリー『Tomb of Sand』、ポーランドのノーベル賞作家オルガ・トカルチュク『The Books of Jacob』、韓国のボラ・チョン『Cursed Bunny』の6作品。