小説家の筒井康隆が24日、書家の牛窪梧十らとともに2021年度日本芸術院賞を受賞した。日本芸術院が優れた芸術活動を表彰する。歌舞伎音楽竹本太夫で人間国宝の竹本葵太夫、雅楽演奏家の大窪永夫、箏曲山田流演奏家の萩岡松韻の5人が選出された。また筒井、牛窪、大窪には恩賜賞も贈られる。

筒井は、1960年代から日本におけるSF小説の創成期を担った世代として小松左京や星新一らと“SF御三家”と称される。80年代からは、メタフィクション的作品『虚人たち』で泉鏡花文学賞を受賞するなど純文学においても数多くの功績を残している。『時をかける少女』や『パプリカ』など映像化された作品でも広く知られる。2002年には紫綬勲章も受賞している。今回は「SF作品から純文学作品まで幅広い創作活動による傑出した文学的業績」を評価された。

日本芸術院賞は、1941年に創設された。過去に文芸では、折口信夫や平林たい子、司馬遼太郎などが受賞している。

授賞式は6月下旬に都内・日本芸術院会館で開かれる予定。受賞者と業績は以下。

【恩賜賞・日本芸術院賞】
牛窪梧十(うしくぼ・ごじゅう、本名牛窪勲=いさお=)書家。77歳。埼玉県出身。日展出品作「陸游詩」。
筒井康隆(つつい・やすたか)小説家。87歳。大阪府出身。SF作品から純文学作品まで幅広い創作活動による傑出した文学的業績。
大窪永夫(おおくぼ・ながお)雅楽演奏家。73歳。東京都出身。雅楽の伝承と発展・普及・指導。
【日本芸術院賞】
竹本葵太夫(たけもと・あおいだゆう、本名柳瀬信吾=やなせ・しんご=)歌舞伎音楽竹本太夫。61歳。東京都出身。歌舞伎音楽竹本太夫としての近年の成果。
萩岡松韻(はぎおか・しょういん)箏曲山田流演奏家。65歳。東京都出身。山田流箏曲の演奏と後進の育成。