田端文士村記念館では10月6日から企画展「田端に集まる理由(ワケ)がある~昭和の田端 喪失と復興~」を開催する。

田端は明治半ばまでは閑静な農村であったが、1887年に上野に東京美術学校が開設されると様々な芸術家が集う様になり、所謂「芸術村」となった。その後、1914年に芥川龍之介が、続いて室生犀星が転居してからは「文士村」としての性格も持つようになった。最盛期には詩人の萩原朔太郎、小説家の菊池寛、堀辰雄、佐多稲子らも居住している。関東大震災や芥川龍之介の自殺を挟んでも田河水泡などが居住し文士村の性格は続いていたが、太平洋戦争時の空襲により田端は大きな被害を受け、文士村は終焉を迎えたとされる。その後、1993年に田端の文学文化を記念し「田端文士村記念館」が開設され、往時の風景と文化を現代に伝えている。

企画展「田端に集まる理由(ワケ)がある~昭和の田端 喪失と復興~」は、田端文士村記念館開館25周年記念展の第3弾として企画されており、戦時下の田端における文士たちの生活と、文士村の終焉、その後の田端の様子を様々な資料により伝える内容となっている。期間中の12月2日には、田河水泡の弟子である漫画家・山根青鬼による講演会「田河水泡先生と私」も開催される(事前申込制)。田端の歴史と様々な芸術の繋がりに思いを馳せられる企画展となりそうだ。

また、現在田端文士村記念館は改装工事による休館中であり、この企画展は休館明け初の企画展となる。新しくなった記念館を見に行く意味でも楽しめそうだ。

企画展「田端に集まる理由(ワケ)がある~昭和の田端 喪失と復興~」は10月6日から2019年2月17日まで田端文士村記念館で開催される。詳しい情報は下記サイトを参照のこと。