居場所を失くした少女による革命を描いたデビュー作『ジニのパズル』で第33回織田作之助賞を受賞した在日韓国人3世の女流作家・崔実(1985.9.6生、乙女座)。その受賞を記念した講演が6月30日(金)関西大学・千里山キャンパスに開催される。

 

「群像」2016年6月号で発表された『ジニのパズル』は第59回群像新人文学賞を受賞し、第155回芥川龍之介賞候補、第33回織田作之助賞受賞、さらに今年に入り第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞するなど、村田沙耶香の『コンビニ人間』とともに2016年を代表する作品となった。

 

そのデビューから一年を過ぎ、公式の講演がいよいよ行われる。講演は「わたしはある日、作家になった」と題し、織田作之助賞選考委員の辻原登を聞き手とする対談形式で行われる、とのこと。

 

崔実に関する情報は、活動期間の長い村田沙耶香と比べると圧倒的に少ない。村田沙耶香は昨年、テレビ番組にも数回出演したが、崔実はインタビュー記事ですら数える程度しかない。確かに作家が公に露出する機会などそんなに多くないものだが、デビュー作でこれほど話題になっているのだから、もう少し何かあっても良いだろう。もしや何か問題を抱えた人物なのか、と勘繰ってしまう。インタビューを読む限り、個性的な人物であることには間違いないのだろうが……。

 

今回の講演は崔実にとって一般向けに開かれた初めてのものとなる。参加定員200名の募集はすでに締め切られており、これから見に行こうと思ってもそれは叶わないが、大変興味深い。質疑応答もあるということなので、抽選によって選ばれた幸運な200名には是非とも鋭い切り口でその人物像を世間に広めて頂きたいものである。