東京オリンピックに向け、テロなどを早くから防ぐために必要な法として、安倍内閣が早期成立を目指している共謀罪(テロ等準備罪)。3月21日には閣議決定もされ、安倍内閣は共謀罪を推し進める向きだが、過去にも同様の法案が廃案になっている上、諸方面からは相次いで大きな反対や抗議の声が出されている。共謀罪の対象となる行為が幅広くかつ不明瞭な事、国家に対し大きな権力を与える恐れがある事など、不安は殆ど払拭されていない。

その様な中で3月21日、一般社団法人日本雑誌協会、一般社団法人日本書籍出版協会は連名で抗議声明を発した。特に意見表明の場、知識が広まる媒体として重要な雑誌・書籍を扱う両協会が抗議声明を出す事は、雑誌・書籍を扱う人々の中で共謀罪に対し大きな問題意識が持たれている証左と取れる。両協会は抗議声明の中で、共謀罪に見られる基本的な問題・欠陥から始まり、雑誌・書籍に密接な問題へ話を進めている。雑誌・書籍に関連する職業や業界の人間でなくとも、一度は読んでおきたい抗議声明である。(下記にリンクしてある)

思えば、共謀罪に限らず、オリンピックや万博やワールドカップなど大規模なイベントが近付くと、必ず「浄化」と呼ばれる動きが現れている。少数者・弱者に対する監視が強まる、ホームレスや貧困層などを会場付近広範囲から排除しさらに社会から隠蔽する、政治的表現それに加えエログロ表現に対する規制を強める等、多くの動きがかつて見られた。共謀罪はそれら権力の動きに対し更に力を付け与える物にしかならないだろう。共謀罪のみならず、もっと広範な問題―そもそもオリンピックが必要なのか―についても目を向ける必要があるだろう。