2016年10月24日(月)、埼玉新聞社は第47回埼玉文学賞の受賞者が決定したと発表した。応募点数は小説・詩・短歌・俳句の4部門あわせて424作品だった。授賞式は11月7日(日)にさいたま市内で行われる予定となっている。

埼玉文学賞は、埼玉新聞によって1969年より開始された文学賞だ。出身者には、文學界新人賞を受賞し芥川賞候補にもなった大久保操などがおり、全国に数多くある地方文学賞のなかでも比較的注目度の高い賞として知られている。特に、小説部門の100万円という賞金は地方文学賞としては破格といえ、実利的な面からの注目度も高い。

そんな小説部門では、141編の応募作から近藤誠司氏(35)の「タイムカプセル」が選ばれた。小学校時代に埋めたタイムカプセルを掘り起こすところからはじまる物語で、読後感の爽やかさと人物描写の説得力が受賞の決め手となったようだ。

また、詩部門では松田由佳氏(48)の「ストップウォッチ」が全170編から正賞に選ばれている。母の形見というモチーフから親子を描いた点が評価された。ほか、短歌部門では堀八郎氏(77)の「別所沼好日」が、俳句部門では久下晴美氏(60)の「おはじき」がそれぞれ正賞に輝いている。

授賞式には上田清司埼玉県知事のほか、協賛企業である埼玉りそな銀行の池田一義社長も列席する。県名を名に冠していながらさほど協力的ではない自治体も多いなか、埼玉文学賞が県を代表する文学賞としての存在感を見せていることは特筆に値するだろう。今回の受賞者から、新たな文壇のスターが生まれることを願ってやまない。