2013年に亡くなった作家・山崎豊子を偲ぶ文学忌の名称が「豊子忌」に決まった。山崎豊子文化財団によって発表されたもので、山崎本人の「直球勝負」だった人柄と重ねたものだという。今後、命日9月29日は豊子忌としてさまざまなイベントが企画されるそうだ。

偉大な作家の命日を偲ぶ文学忌は、その作家の個性を象徴するようなユニークな名称をつけられることが多い。太宰治の「桜桃忌」や芥川龍之介の「河童忌」、梶井基次郎の「檸檬忌」など作品タイトルにちなむものが目立つが、山崎豊子の場合は非常にシンプルな名称となった。

寡作ながら、『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』などベストセラーを立て続けに世に出した山崎を偲ぶにしては、あまりにも芸のないネーミングに思われるかもしれないが、それには理由がある。これは、山崎本人の性格を重ねたものなのだ。検討段階では「花簾忌」や「華簾忌」なども候補に挙がったそうだが、半世紀以上も秘書を務めた野上孝子氏の「山崎先生は抽象的なことが嫌い」という意見が尊重された形だ。

命名後初となる2016年の豊子忌は、大阪市天王寺区・藤次寺にある墓所を一般公開することが決まっている。ほかにも、ゆかりの人物を招いての講演などが企画されているようなので、ファンは動向を見守っていこう。