SKYHIGH文庫の創刊ラインナップは以下の5点。

  • 『シャーベット・ゲーム オレンジ色の研究』 (著:階 知彦、イラスト:鉄雄)
  • 『花屋の倅と寺息子』 (著:葛来 奈都、イラスト:vient)
  • 『東京下町湯屋話』 (著:真媛 響乃、イラスト:文倉 十)
  • 『――ねぇ、柴田。』 (著:川瀬 千紗、イラスト:フライ)
  • 『おいしいは正義』 (著:松田 未完、イラスト:POKImari)
  • 『零(ゼロ)の記憶』(著:風島 ゆう、イラスト:カズアキ)

いずれもエブリスタの投稿作品であり、著名なイラストレーターの挿画を入れた「ライト文芸」としてリリースされる。刊行は2016年9月からを予定している。

エブリスタはこれまでにも『王様ゲーム』や『奴隷区』などのヒット作があり、Webへの投稿から出版というビジネスモデルを持っている。今回はライト文芸に注力することで、いま各出版社が次々に参入している市場を狙っていくようだ。

ライト文芸という言葉を聞きなれない方も多いかもしれないが、一般文芸書とライトノベルの中間に位置する文芸ジャンルだ。表紙にはアニメ調のイラストが採用されることが多いが、ライトノベルほどオタク・萌え向けに特化しておらず、おしゃれなイラストで女性向けを意識していることも。主人公が10代で高校生活などが描かれるライトノベルに比べると、主人公が20〜30代で、いわゆる職業小説であることも多い。代表的な作品としては『ビブリア古書堂の事件手帖』などがある。新潮社のような老舗も新潮文庫nexなどをリリースしており、いま最も注目される文芸ジャンルだ。

ここ10年ほどのトレンドを見ていると、ライトノベルの市場拡大に目をみはるものがあるが、その層をより拡大したものがライト文芸だと言える。キャラクター性を押し出したものが多いという違いはあるが、ジャンルとしてはミステリー・SF・歴史など、一般文芸とそれほど異なるところはない。1980年代にコバルト文庫で書いていた作家たちが2000年頃に次々直木賞を受賞したように、ライト文芸から直木賞受賞者が出る日もそう遠くないだろう。