2016年6月7日(火)より、東京国立近代美術館で『声ノマ 全身詩人、吉増剛造展』が開催される。詩人・吉増剛造の50年にわたる創作活動を紹介するもので、世にもめずらしい「詩の展覧会」という挑戦的な企画になっている。
吉増剛造といえば、現代日本を代表する詩人だ。吉本隆明をして「わが国でプロフェッショナルと呼べる詩人は、田村隆一・谷川俊太郎・吉増剛造の三人」と言わしめたほか、つい先日も佐々木敦が「日本人で最もノーベル文学賞に近い」と評したことで話題となったばかりだ。
何度か人前でも言ったことがあるけれど、僕は日本人で最もノーベル文学賞に近いのは、村上春樹ではなく吉増剛造だと思っています。
— 佐々木敦 (@sasakiatsushi) April 26, 2016
77歳になる現在も吉増剛造の創作意欲は衰えることを知らず、 音楽・映像とのコラボレーションや朗読パフォーマンスといった、紙の上だけに留まらない先鋭的表現でも知られている。
今回の展覧会でも、生原稿だけでなく、ドローイング、写真、オブジェ、インスタレーション、カセットテープなど、詩人という言葉のイメージを裏切るような作品の数々が展示される。大友良英や空間現代といった音楽家とのコラボレーション・パフォーマンスも予定されているので、ジャンルも世代も超えて多くの表現者たちを惹きつける吉野剛造の魅力を余すところなく堪能できるはずだ。
文学/アート/サブカルチャーといったジャンルの境界線を極限まで薄めていくような吉増剛造の創作活動を目の当たりにすれば、展覧会タイトルにある「全身詩人」という言葉の意味を五感全部で理解できるのではないだろうか。
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