今月は新潮、文學界、群像、すばる、文藝の5誌が発売された。5誌の概観をここで紹介しよう。

新潮 2026年5月号

・【創作】では、平野啓一郎「決定的瞬間 The Decisive Moment」、堀江敏幸「春眠」、古川真人「いまさら」、松浦寿輝「A Day in the Life」が掲載。筒井康隆による掌編「越前屋」、【連作】では、市川沙央「良心的兵役拒否」(5)、川上弘美「あなたたちはわたしたちを夢みる」(11)がそれぞれ掲載。

・【批評】では、鈴木涼美「異性愛の孤独――松浦理英子『今度は異性愛』論」。

・【対談】では、町田康×畠山丑雄「愚かな“人でなし”として祈る――『朝鮮漂流』と『叫び』をめぐって」、村田沙耶香×ポリー・バートン「日本文学ブームの渦中に身を置いて」、浅田彰×千葉雅也「私とは一個の他者である――トランプ時代のクィア・セオリー」。

文學界 2026年5月号

・『第131回文學界新人賞』が発表。受賞作は村司侑「ソリティアおじさんがいた頃」。佳作は沓乃よう「ドロップ」。選考委員の村田沙耶香、青山七恵、金原ひとみ、阿部和重、町屋良平による選評も併せて。

・【創作】では、沼田真佑「ダーティー・オールド・マン」、仲白針平「ビスマルキア・ノビリス」。

・【特集 室内と文学】として、作家と読者を魅了し続ける空間「室内」について、様々な角度から考える。対談では、鳥山まこと×小川公代「家と文学の切れない関係」、朝吹真理子×西沢立衛「閉じながら開かれるために」。聞き手・構成を鳥澤光が務める池辺葵のインタビュー「日常生活こそがエンターテインメント」。

 さらに、エッセイでは町田康「頭蓋の縁側」、年森瑛「メイン・テーブル」、市川沙央「アルコーヴの思い出」 、乗代雄介「再現された物置」、はらだ有彩「親密さ、あるいは誰にも見せない緑のぐじゃぐじゃ」、松尾スズキ「コンピューターより狭い部屋」、小池水音「窓を覗く」が掲載。金川晋吾のロングエッセイ「室内がそのようにしてあることの一回性の驚き――リチャード・ビリンガム『Ray’s a Laugh』について」、北村匡平の批評「五感を刺激する室内劇映画―映画的想像力とは何か」、鈴木結生の創作「Hojoisme」(oは正しくはマクロン付き)を一挙。

・【デビュー十周年特別エッセイ】として、砂川文次「混沌と、混迷の世で文学を」が掲載。

群像 2026年5月号

・小砂川チト「ゾンビ回収婦」、舞城王太郎「ベルゼバビブベボ」の中篇二作を掲載。

・【小特集・奈倉有里と読書の歓び】として、川上弘美×奈倉有里の対談「言葉をあきらめない」、辻山良雄の書評「〈わたし〉であることの奇跡」、奈倉有里のエッセイ「本屋さん消えないで」、奈倉有里の連載「文化の脱走兵」を一挙。

・川上幸之介「行動するアート」、田中純「〈文×人〉考」の新連載がそれぞれスタート。

・小川洋子×東畑開人による「秘密の読書会」が最終回を迎える。

すばる 2026年5月号

・岩川ありさによる小説「軽めの重荷」が掲載。

・影山知明による新連載「コーヒー一杯分のエッセイ」がスタート。

・【あの日から15年と、少し】として、15年を経た東日本大震災について再び考える。小林エリカの小説「マタタビと共に去りぬ」(写真:竹内公太/タコ)、永井玲衣によるエッセイ「カタカナ」。

・池澤夏樹の連載「天路歴程」〈13〉が最終回を迎える。

文藝 2026年夏季号

・【特集1 失恋、あるいは恋の不可能性】として、対談では島本理生×濱野ちひろ「『恋愛の加害性』を超えて」、又吉直樹×小原晩「ひと、わからないからおもしろい」、短篇では長井短「根津ハイツ400」、J.D.サリンジャー、柴田元幸訳「イレーン」、小原晩「さようならしないよ」、川野芽生の短歌「占星」。

 さらに、論考では、堀内翔平「試行錯誤のできない社会で、恋の不可能性を考える」、難波優輝「恋愛の根源的はちゃめちゃさとおもちゃの恋」、瀬戸夏子、宮崎智之、青木耕平によるブックガイド「もうすぐ絶滅するという恋愛についてのブックガイド」、エッセイでは、石井ゆかり「『世の中』の周縁のサンクチュアリ」、八木詠美「失恋博物館へ」、年森瑛「一角獣は自由恋愛の夢を見るか?」、山田由梨「恋愛を描きたくなかったのは」、ラブリーサマーちゃん「痛みを誇る」を一挙。

・【緊急寄稿 特集2 殺したくも殺されたくもない私たちのNO WAR】として、いとうせいこう「平和を笑うな」、金井真紀「二月、テヘランにて」、グレゴリー・ケズナジャット「葬儀の準備」、コムアイ「絶望に駆られないための読書とポッドキャスト」、瀬尾夏美「あたりまえの反戦」、谷崎由依「四歳児の問うたこと、または資本主義の身体について」、吉村萬壱「症例(手記 六十五歳・小説家)」がそれぞれ掲載。

・北村薫「日もすがら、夢みつつ……」【第1回】、大久保健、粟飯原文子、嘉山正太「世界の路上から」【vol.1】、奈倉有里「酸素ボンベ??ロシア文学の海外出版・地下出版の現在」、嘉山正太「煙の街──一五歳の少女と横たわる死」とそれぞれ新連載がスタート。

・創作では、小泉綾子による「私の獲物が、」、図野象「空洞」とそれぞれの文藝賞受賞第一作が掲載。

・BAUM×文藝特別企画として、西加奈子による掌編「みどり」が掲載。

以上、今月の文芸誌読みどころを紹介した。読書の一助になれば幸いである。