僕、六睦が船着場に住み着いたのは六年前である。龍神様に会いに行った母が帰ってくるまで、ここで待ち続けるのだ。
雨の中をやってきたやえと僕が交差する時、僕は母の言葉の意味を知る――激動の明治十年、市井の人々の暮らしは未だ半分、神話の中にある。

  1. 完結済み ( 2016 年 8 月 24 日 〜 2016 年 11 月 10 日 )
  2. 6 作品収録
  3. 45,200文字

Authors & Editors 執筆者・編集者

斧田小夜

斧田小夜 編集・執筆

千葉県生まれ、ソフトウェア開発者。得意分野はSFファンタジーと1900年前後が舞台の地球。

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Works 掲載作一覧

  1. 1

    舟 – 1 小説

    • 斧田小夜
    • 1年前
    • 2,021文字

    岸から船着場へ荷を載せ、四艘の舟は川面を走る。 水面は魚の鱗のように光っており、時折櫂の間をくぐる黒い鯉の影が見える以外は穏やかである。照りつける太陽の下、夏は眩しく、しかし水辺の風は涼やかだ。 四艘の舟は川面に揺れる光 […]

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    舟 – 2 小説

    • 斧田小夜
    • 1年前
    • 8,409文字

    この辺りの舟はすぐに休む。日が照りつけ川底がからからに乾けば舟は動かせないから、人も動かない。野分が来ればなににぶつかり、どこへ流されるかもわからないから、家に引っ込んで出てきもしない。大水だっておんなじことだ。しょうが […]

  3. 3

    舟 – 3 小説

    • 斧田小夜
    • 1年前
    • 7,125文字

    僕、六睦りつむくが船着場に住み着いたのは六年前、明治四年のことである。 人のいない朝方の桟橋に、僕は一人、ぼんやりと突っ立っていた。そして舟を出しに来た船渡しの男につかまった。 彼らは僕を取り囲んで、あれやこれやと問いた […]

  4. 4

    舟 – 4 小説

    • 斧田小夜
    • 1年前
    • 8,335文字

    川の水が引いたのは三日後だった。 僕たちがせっせと舟の泥をおとしている時、やえはおかみさんに手を引かれて茶屋にやってきた。やえは妙な顔をしてしきりにきょろきょろとしている。そのうしろから背を丸めついてきた丈次は、土手下に […]

  5. 5

    舟 – 5 小説

    • 斧田小夜
    • 1年前
    • 3,700文字

    冬が来て、春がきた。 ――お鶴さんとおっ亀さんと、お手引き合せて観音へ参る 騒がしい春になっても、やえは僕の布団にもぐりこむことをやめず、次第におかみさんもそれを咎めることをやめてしまった。僕もやえも小さな子供だから、ど […]

  6. 6

    舟 – 6 小説

    • 斧田小夜
    • 1年前
    • 13,075文字

    その女が来ることを僕は知らなかった。確かにおかみさんはあわただしく旅籠屋と茶屋を行き来していたが、僕はまだ墓にはいっていないやえに話しかけたり、隣であやとりをするので忙しかったのだ。 やえの骨壷は箱に収められ、白い布がか […]