経済産業省が5日、大臣直属の「書店振興プロジェクトチーム」を設置。全国的に減少する書店に対し、初めて本格的支援に乗り出す。
経産省によると、プロジェクトチームは映画や音楽、文芸などを扱うコンテンツ産業課に事務局を置く。キャッシュレス決済の推進や中小企業支援を担当する部署も参加し、部局横断型で事業内容の議論や調査を進める。
今後、経産省の担当者らと書店や出版関係者による車座ヒアリングの開催を予定。非効率な出版流通の改善や店舗運営におけるデジタル技術活用の必要性など課題を把握する。店主が一冊ずつ良書を選んで入荷し、店のサイトやSNS上で紹介する個人書店や、カフェや文具店を併設し魅力的な読書空間を作る書店チェーンなど優れた事例を共有し、支援策の参考にするという。
日本出版インフラセンターによると、2013年に全国1万5602店あった書店の総店舗数は、22年には1万1495店と、約10年でおよそ5分の1が減少した。
一般財団法人・出版文化産業振興財団(東京)の調査によると、全国の市区町村のうち、地域に書店が一つもない無書店自治体はおよそ4分の1にのぼる。実際に地域による文化格差が生まれていることに、経産省も危機を覚えているかたちだ。
グローバル経済が叫ばれて久しい中、経産省は、映画や音楽をはじめコンテンツ産業の振興を掲げる。この10年でその典型的な好例として挙げられるのが、韓国だろう。Netflixで世界を席捲した「イカゲーム」や、ビルボードでトップにもなったBTS、日本でも近年ブームとなっている韓国文学など、文化面での存在感は目を見張るものがある。
日本でも2010年に「クールジャパン」と銘打ち、政府によるアニメや漫画など文化に限らず食や伝統工芸など日本のソフトパワーを支援する目的で経産省製造産業局に「クールジャパン室」が開設。2012年の第二次安倍内閣時にはクールジャパン戦略担当大臣として、稲田朋美衆議院議員が初代大臣に任命されている。
それ以後10年以上が経過しているが、韓国のような成功を収めているようには見えないのが実情だ。今回の支援が真に書店、布いては出版業界の活況へと繋がるのか、今後の具体的な支援策を注視したいところ。
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