丸善ジュンク堂書店が開催する「書店員が選ぶノンフィクション大賞 オールタイムベスト」で、丸善ジュンク堂書店各店および全国の書店スタッフの投票により、西加奈子『くもをさがす』(河出書房新社)が大賞となった。

 2018年から毎年実施されていた「Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」が、2023年は運営体制の変更により開催中止になったことを受け、丸善ジュンク堂書店として独自にノンフィクション本フェアを企画した。

 全国の書店員約370人が投票に参加。当フェアのテーマは「ノンフィクション オールタイムベスト」。丸善ジュンク堂書店のスタッフから、これぞ「ベストノンフィクション」という作品を募り、それぞれに推薦コメントをつけた。その中からさらにスタッフ全員を対象にした投票を行い、投票数上位の50冊を選抜。最終的には在庫等の事情により46点が当フェアの対象となった。

 西は1977年、イラン・テヘラン生れ。エジプトのカイロ、大阪で育つ。2004年に『あおい』でデビュー。2007年『通天閣』で織田作之助賞を受賞。2013年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞受賞。2015年に『サラバ』で直木賞を受賞。ほか著書に『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『ふる』『i』『夜が明ける』など。

 西加奈子は受賞を受け、以下のようにコメント。

――書き始めたとき、誰かに読ませるつもりはなく、もちろん出版の予定もありませんでした。今自分に起こっていることを見過ごしたくない、そして、自分自身と間違いなく目を合わせたい、そう思って書き始めたこの文章は、日々形を変え、発声し、生きようとし始めました。今、『くもをさがす』は、たくさんの方の声を得て、たくさんの方の視線を孕んで、ますます強く生きています。そうなるともう、これはすでに私だけのものではありません。私の、私だけのためにあったはずの言葉は、身体の境界を越え、あなたの力を借りて、今、私から離れた場所で、まっすぐに私を見つめています。この文章に、美しい命を与えてくださったことに、心から感謝します。――

 『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、発覚から治療を終えるまでの約8ヶ月間を克明に描く。祈りと決意に満ちた著者初のノンフィクション。

 なお、「受賞記念トークセッション」が11月16日に行われ、その模様が配信される。