作家の西村京太郎が、肝臓がんにより、3日午後5時5分に神奈川県内の病院で死去した。91歳。

西村京太郎（本名・矢島喜八郎）は1930年に東京都で生まれた。陸軍幼年学校に入学したが在学中に敗戦を迎え、その後は臨時人事委員会（現在の人事院）職員を経てトラック運転手、保険外交員、私立探偵など様々な職を転々とした。その後、作家生活に入り、1963年に短編『歪んだ朝』でオール讀物推理小説新人賞を受賞、1965年に『天使の傷痕』で第11回江戸川乱歩賞を受賞した。

当初は社会派とされる推理小説を多く書いていたが、1978年にトラベルミステリー第1作『寝台特急ブルートレイン殺人事件』で新たなジャンルを開き第一人者となる。「十津川警部」の登場する作品群も広く知られ、数多くテレビドラマ化された。作家・山村美紗との交流でも知られ、96年の山村の急逝後に未完だった『在原業平殺人事件』『龍野武者行列殺人事件』を西村が完成させた。近年も精力的に活動を続けており、毎週日曜日には「西村京太郎記念館」に訪れサイン会を行うこともあった。

葬儀は近親者で既に行われ、後日お別れの会が開かれる予定である。