2016年12月1日(木)に発売される婦人画報1月号に、特別付録として別冊「皇室」が付属する。これは明治時代末期に刊行されていた「皇室画報」の流れを汲むものといえ、半世紀以上の時を経てまさかの復活を果たした格好だ。

1905年の創刊以来、ハイカルチャーを扱う生活情報誌として世の婦人たちに愛読されてきた婦人画報は、現存する日本最古の女性誌として知られる。しかし、明治40年代に「皇室画報」という別冊も刊行されていたことまでは意外と知られていないのではないだろうか。

当時の皇室画報では皇族の肖像や系図といった資料のほか、食生活や宮中祭祀の様子なども写真入りで伝えられていた。一部は国会図書館のデジタルコレクションでも公開されているので、ぜひ目を通してみてほしい。女性誌の関心が皇室に向くのは今も昔も変わらないが、皇室が現在の感覚よりも遥かに庶民から縁遠かった時代だということを踏まえれば、当時の読者にとっては垂涎モノの雑誌だったに違いない。

今回の別冊「皇室」でも、伝統的な正月の迎えかたやミッチーブーム以来約60年にわたる出来事、次代を担う若年皇族たちの学生生活など、皇室の歴史と今がぎゅっと凝縮のうえ紹介されている。また、なにかとタイムリーな皇室典範の全文やその解説も掲載されており、あらためて皇室について基礎から理解したい人にもうってつけの資料といえる。

天皇制の是非については個々人それぞれ意見があるだろうが、日本の歴史と文化形成において皇室が重要な役割を果たしてきたことは疑いようもない。もちろん文学史においても記紀を無視することはできないはずだ。天皇のあり方が変わろうとしている今だからこそ、この機会にチェックしておこう。