2017年度のノーベル文学賞は日本に所縁のある人物が選ばれた。スウェーデン・アカデミーは5日、2017年のノーベル文学賞を日系イギリス人の作家、カズオ・イシグロ氏(62)に授与すると発表した。カズオ・イシグロ氏には賞金として900万スウェーデンクローナ(約1億2400万円)が贈られる。

カズオ・イシグロ(日本名表記・石黒 一雄)は1954年に長崎県で生まれ、5歳の時に海洋学者である父の仕事に付き添ってイギリスに移住した。当初はミュージシャンを目指していたが、小説家の道を歩むこととなった。1982年にイギリスに帰化し、同年「女たちの遠い夏」(日本語版では「遠い山なみの光」と改題)で王立文学協会賞を受賞、1989年には「日の名残り」(The Remains of the Day)ブッカー賞を受賞した。イシグロ・カズオの作品は多くが映画化されるなどしている。

2015年のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ(ベラルーシ人ジャーナリスト)、2016年のボブ・ディラン(ミュージシャン)と、近年は文芸そのものとはやや離れた選出が続いていたが、今年は小説家と呼べる人物が選出された。一部の人々の間で受賞が期待されていた村上春樹氏は今年も受賞を逃した。カズオ・イシグロ氏のこれからの活躍に期待するとともに、更なる続報を待ちたい。我らが破滅派の高橋文樹が以前イシグロ・カズオ氏の講演会に向かった時の記事もあるのでこちらも読むとイシグロ・カズオへの理解が深まるかもしれない。