NHK『ラジオ深夜便』内で不定期に放送されてきたコーナー「絶望名言を味わう」が、2017年4月よりレギュラー化する。それに伴いコーナータイトルは「絶望名言」とコンパクトになり、今後は偶数月第4日曜日の4時台に放送される予定だ。紹介および解説は引き続き、文学紹介者・頭木弘樹が務める。

「絶望名言を味わう」はこれまでに3回放送され 、そのたび話題を呼んできた人気コーナーだ。毎回ひとりの偉人をピックアップして絶望的な名言を紹介するものだが、ただ暗く後ろ向きなだけのコーナーではない。絶望から生まれた言葉だからこそ、絶望の淵にいる人間にとっては救いにもなり得るのだという視点がキーになっている。

解説者の頭木もそうして救われた人間のひとりだという。20歳で難病に罹患した頭木は、13年間におよぶ闘病生活を余儀なくされた。一時は医師から「親に面倒をみてもらいながら生涯を送るしかない」とまで宣告されたが、闘病中に出会ったカフカやドストエフスキーの絶望的な言葉から希望を見出したのだそうだ。

レギュラー化に先立ち「絶望名言を味わう~フランツ・カフカ」が再放送された際には、頭木の著書『絶望名人カフカの人生論』がAmazonの文庫売上でベスト50入りを果たすという反響の大きさを見せた。もともと『ラジオ深夜便』が多くのリスナーを抱える人気番組だということを差し引いても、この影響力は凄まじい。まさに待望のレギュラー化といえるのではないだろうか。

レギュラー化初回となる4月23日深夜(24日未明)の放送では、太宰治の絶望名言がピックアップされる。絶望から生まれた言葉ならではの味わいを楽しみたい。