夕闇通り七番街のシャッター閉まった細い路地裏、4649歳のマスターのお店。
店名は「深淵」でス。
【※】小雨降る夜にだけ開店致しまス。
【※】不定期でシの朗読会が行われていまス。
――――憂いを帯びた者も、そうでない者も、ようこそ深淵へ。
最初に煉瓦を一片、 足元に置いたことから始まる 赤茶けた隙間にコンクリートを溶いては重ね続けた 微動だにせず、揺らしもしないで埋め、 背丈を追い越して 僕はそれを要塞《トーチカ》 […]
空豆と云う響きは悲しい 雨が降る午後に空豆の皮を剥いた 四角い箱からは当たり障りの無い 組み合わせの羅列が流れ 通過しては留まりもせず 消え行く 滞る方法が見つからないのだろう […]
それは場末のサアカス団を観終えた後 揺れなくなった空中ブランコの下で からっぽのライオンは眠ってゐる 散り散りの紙吹雪こてんぱんの檻 出刃包丁の柄は煌々とぬめってゐる ぽっけから解けだしたチヨ […]
深夜、落涙の海に 背鰭に輝く綺麗な名前の名札を 月光に反射させて 水面下は二重の曲線が交錯して螺旋 ぽちゃ り と尾、迂回した旋回 見分けがつくように 顔は見せない […]
髭面の聖者が街から去った日 煤すすとリボンの切れ端が転々と 街灯の光線が朝焼けに同化する頃に 僕は歩道橋の上から赤色の点滅信号をいつもの様に眺めていた 世界はまだストップモーショ […]
きもちわるい 猫の唄 闇に光るピカピカおめめ 充血し柔い肉球に私の中のをんながざわわと動き出すから どうか耳栓を下さい どうか 耳障りな本能の唄が聞こえてきませんよ […]
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