スウェーデン・アカデミーは10日、2024年のノーベル文学賞受賞者を、韓国の作家ハン・ガンに授与すると発表した。韓国人として、またアジア人の女性としても初のノーベル文学賞となる。賞金として1100万スウェーデンクローナが贈られる。

近年、スウェーデン・アカデミー内部の不祥事問題により2018年度の開催が見送られるなど体制が揺れ動いていたノーベル文学賞だが、2019年より体制を改めて再び開催されるようになった。

2024年度ノーベル文学賞の受賞者となったハン・ガン(韓 江、한강、1970~)は、韓国出身の女性作家である。1990年代より創作活動を始め、1995年の『여수의 사랑(麗水の愛)』、1998年の『검은 사슴(黒い鹿)』などの作品で世に知られるようになった。2016年には、『채식주의자 (菜食主義者)』でブッカー国際賞を受賞するなど、国際的に活躍しており、邦訳作品もある。

スウェーデン・アカデミーはハン・ガンの作品について「for her intense poetic prose that confronts historical traumas and exposes the fragility of human life.」(歴史的トラウマに立ち向かい、人間の命の脆さを露呈させる強烈な詩的散文)と評価した。文学賞の授賞式は、12月10日にストックホルムで行われる。

一部で受賞が期待されていた、日本人作家の村上春樹氏や佐川恭一氏は今年も受賞を逃した。