「第68回岸田國士戯曲賞」が発表され、池田亮『ハートランド』(上演台本)が受賞した。

 選考委員の市原佐都子、上田誠、岡田利規、タニノクロウ、野田秀樹、本谷有希子、矢内原美邦による選考会が3月1日に、都内神田錦町の學士會館で行なわれた。

 最終候補作には、受賞作のほか安藤奎『地上の骨』(上演台本)、金子鈴幸『愛について語るときは静かにしてくれ』(上演台本)、菅原直樹『レクリエーション葬』(上演台本)、蓮見翔『また点滅に戻るだけ』(上演台本)、升味加耀『くらいところからくるばけものはあかるくてみえない』(上演台本)、メグ忍者『ニッポン・イデオロギー』(上演台本)、山田佳奈『剥愛』(上演台本)の8作品があがっていた。

 池田亮は、1992年8月31日埼玉県春日部市生まれのの劇作家、演出家、俳優、造形作家。東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻卒業。舞台作品・美術・映像を制作する団体として2015年に設立された「ゆうめい」の構成員。遺伝や家族にまつわる実体験をベースとした舞台『姿』がTV Bros.ステージ・オブ・ザ・イヤー2019、テアトロ2019年舞台ベストワンに選出。近年ではNHK Eテレ『天才てれびくん』ドラマ脚本、TVアニメ『ウマ娘』一期二期脚本、テレビ朝日『最初はパー』レギュラー出演、フジテレビ「生ドラ!東京は24時」第二夜『美大の駅伝』監督・脚本、いきもんより発売のカプセルトイ『クリスタルハンドルの水栓リング』の原型・発起人など、ノンジャンルで活動している。

 『ハートランド』は、初演が2023年4月20日~30日に東京芸術劇場シアターイーストで行われた。

 本谷有希子は本作について「社会の『弱者』とされる人々が、仮想世界とテクノロジーによって新たな居場所を与えられ、生かされる。リアル世界に固執した人々が、昔ながらの苦しみの中に取り残される。現代社会において実際に起こっている現実を描き出している本作が、軽妙なくせに、最も強度と緊迫感を持っている戯曲だと感じた。」とコメントしている。

 なお授賞式は5月7日、學士會館で開催される。池田には正賞として時計、副賞に60万円が贈られる。