加藤拓也『ドードーが落下する』(上演台本)と金山寿甲『パチンコ(上)』(上演台本)が3月17日、『第67回岸田國士戯曲賞』(白水社主催・公益財団法人一ツ橋綜合財団後援)を受賞した。

選考会は同日に都内神田錦町・學士會館で行なわれた。選考委員は岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、本谷有希子、矢内原美邦の六人。

加藤拓也は1993年生まれ。大阪府出身。劇団た組を主宰する劇作家、演出家。主な作品に「ぽに」、「もはやしずか」。『ドードーが落下する』は、初演が2022年9月21日~10月23日でKAAT神奈川芸術劇場大スタジオ、まつもと市民芸術館小ホール、札幌市民交流プラザ・クリエイティブスタジオで上演された。

岩松了は「落ちてゆく売れない芸人を扱いながら、その明るさが怖い。その不気味な明るさは人の行為の不気味を生んで秀逸である」と評した。

金山寿甲は1975年生まれ。千葉県出身。東葛スポーツ主宰の劇作家、演出家。2回目のノミネートでの受賞となった。主な作品に「A-②活動の継続・再開のための公演」。『パチンコ(上)』は初演が2022年9月16日~9月20日でシアター1010 稽古場1で上演された。

本谷有希子は「金山氏の『帰化したら在日ネタできなくなるじゃん』と軽々と言ってのける姿勢に、マイノリティを弱者として扱わせない覚悟を垣間見、すべてをエンタメにしてやろうという作家としての欲深さを感じ取った。何より、世界が勝手に『傷ついてるだろう』と思い込んでる側からの、『いえ、別に傷ついてませんけど?』という返し。ハッとさせられた。作品に頻出する『葛飾区』というワードには、自分が生まれ育った場所からカウンターストーリーを生み出してやろうという野心が見て取れる。全候補作のなかで、唯一ストリート感が匂い立ち、私はそういう作品を支持したいと思った。受賞、おめでとうございます」とコメント。

正賞は時計、副賞は各30万円で、授賞式は4月25日に學士會館で行われる。