福島県郡山市出身の作家・古川日出男が6月5日に、「郡山市フロンティア大使」に就任した。

 「郡山市フロンティア大使」は各界で活躍する郡山市ゆかりの人物に市が委託し、イメージづくりやPR活動を推進してもらう。これまでにボーカルグループのGReeeeNや、野球解説者の中畑清、俳優の西田敏行など様々な著名人が就任して、郡山の情報を発信してきた。市は、新たに作家の古川日出男へフロンティア大使を委嘱した。

 古川は1966年、郡山市生まれ。1998年に長篇小説「13」でデビュー。2006年、『LOVE』(祥伝社)で三島由紀夫賞受賞。2015年に『女たち三百人の裏切りの書』(新潮社)で野間文芸新人賞、2016年同作で読売文学賞を受賞した。

 今年、2017年の小説『平家物語 犬王の巻』(河出書房新社)を原作としたアニメーション映画『犬王』が、ゴールデングローブ賞及びアニー賞にノミネート。また、映画は『日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞』を受賞し話題となった。

 古川は2011年の東日本大震災後に、鎮魂のため自ら脚本・演出を手掛ける朗読劇「銀河鉄道の夜」プロジェクトを始動。2013~2015年には、郡山市内で言葉と表現をテーマとしたワークショップ「ただようまなびや 文学の学校」を主宰するなど積極的に地元での活動を行っている。2021年には震災から10年が経った被災地を訪ねたNHK『目撃!ニッポン』の放送をもとに、ノンフィクション『ゼロエフ』(講談社)を発表している。

 震災から12年が過ぎ、表向きは復興したとされているが、福島原発の問題はこれからも続く。フロンティア大使就任で古川はどのように地元の情報を発信していくのか、注目したい。