2021年12月より『アウレリャーノがやってくる』を皮切りに出版事業を開始した破滅派から、新たに2冊の書籍が刊行される。
発売日はどちらも2022年6月中旬を予定。5/29(日)に開催される文学フリマ東京では先行販売が行われる。破滅派のブースはア-07,08。もしかしたら、サイン本やノベルティを入手できるかも?
以下、各書籍の内容紹介。
佐川恭一『シン・サークルクラッシャー麻紀』
上製本256ページ 定価2,200円(税込)
クラッシャられるべきか、クラッシャられないべきか、それが問題だ――あのサークルクラッシャーが帰ってきた! 佐川恭一の名を世に知らしめた伝説の作品が長編小説として生まれ変わる。奇跡の童貞文学、ここに誕生。
破滅派から出た電子書籍としてもっとも読まれた『サークルクラッシャー麻紀』(2022年4月時点で累計1,500DL)と佐々木敦が選ぶ今年の10冊(東京新聞・2019年)にランクインした『受賞第一作』をマッシュアップ! アンドレ・ジィド『贋金つかい』を思わせる「文学的構造」と下品スレスレ外角低め文体が織りなす佐川ワールドの新境地が誕生。
麻紀はなぜサークルをクラッシュをしたのか? 崩壊した文芸サークル「ともしび」出身で「受賞第一作」にてデビューした覆面作家の正体は? 青春の蹉跌を抱えながらサラリーマンとして生きる部長は「文学」を取り戻せるのか?
今年作家デビュー10周年を迎える佐川恭一の新しいマイルストーンがいま打ち立てられる。
サークルクラッシャー麻紀に寄せられたコメント
童貞は全員読んでください。童貞からのお願いです。
―― Amazon レビュワー
予言する。佐川恭一は日本文学史に残る大作家になる。必ず。
―― 樋口恭介(SF作家)
面白かった、かつ、ちょっといや~な気持ちになった。
―― ベル(文学YouTuber)
斧田小夜『ギークに銃はいらない』
「破滅派のル=グウィン」と呼ばれるほどの実力派にして、シリコンバレーなど海外でプログラマとして働いた経験をもつ現役のソフトウェアエンジニアによるSF短編集。第3回ゲンロンSF新人賞優秀賞受賞作ほか、全四篇を収録。
上製本304ページ 定価2,420円(税込)
【収録作】
「ギークに銃はいらない」
銃なんかなくたって、俺たちは世界を殺せる。だろ? ディランはきまってそんなふうに言った。腐ったハンバーガーみたいな青春だけど、僕たちには一つだけ救いがある。ここ、北カリフォルニアで、ギークは神だからだ――――ナードに位置付けられた少年たちのホワイトハッカー小説。
「眠れぬ夜のバックファイア」
家族と元恋人をめぐるトラウマから眠ることのできなくなったヨウは入眠装置In:Dreamを使って安眠を求める。スタートアップ事情を活写したリアルテック✕解毒SF。
「春を負う」/「冬を牽く」
ル=グウィン『闇の左手』を思わせる、厳しい冬が支配する《ヌビヤク》の高山地帯を舞台に、季節を運ぶ《交易びと》と祭祀長《チェギ・ルト》になることを運命づけられた少年の交流を描くスペキュレイティブ・フィクション連作。
【推薦コメント】
世界というのはいつだって理不尽で、生きるということはいつだって不如意なものだ。それはもう、そういうものなのだからしかたない。
斧田小夜の書くSFは、閉じられた世界の中で苦しさを噛みしめながら生きる人間を、いつも静かに見つめている。
閉じた世界の中にもときおり光が射すことがある。その光には世界を変えるほどの力はないかもしれないけれど、そのかすかな光の美しさを、斧田小夜は決して見逃さないのだ。
――pha(ブロガー・作家・元「日本一有名なニート」・「ギークハウスプロジェクト」発起人)
日本SF第七世代の牽引者となることを望みたい。
――大森望(翻訳家・SFアンソロジスト)※河出文庫『NOVA 2021年夏号』より
主人公のからだが血をしぼりだすようにしてまったくあらたな解決法を発見する。これはSF的なロジック、サスペンスの解決、作品の主題を同時に満足させることを目指し、じつに見事に達成した作品です。
――飛浩隆(作家)※第3回ゲンロンSF新人賞選評より
『アウレリャーノがやってくる』は破滅派の名を冠しながら個人プロジェクトの意味合いが強かったが、佐川恭一・斧田小夜という「商業誌で活躍を始める前から破滅派で活動していた実力派作家」の本を出版することで、破滅派の版元としてのレベルも格段に向上することだろう。
長年破滅派を見つめてきたファンにとっては感慨深いことだろうし、破滅派を知らなかった新たな読者たちにとっては、オルタナティブ文芸の勢いを強く感じる出来事になるだろう。
いずれもAmazonや楽天ブックスなどの通販サイトで近々予約可能な状況になるだろう。ぜひ事前予約をして、著者たちの新たなステージを盛り立ててほしい。
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