スウェーデン・アカデミーは8日、2021年のノーベル文学賞をタンザニア出身の小説家アブドゥルラザク・グルナに授与すると発表した。賞金として1000万スウェーデンクローナ(約1億2700万円)が贈られる。

近年、スウェーデン・アカデミー内部の不祥事問題により2018年度の開催が見送られるなど揺れ動いていたノーベル文学賞だが、2019年より体制を改めて再び開催されるようになった。

2021年度ノーベル文学賞の受賞者となったアブドゥルラザク・グルナ(Abdulrazak Gurnah,1948~)は、タンザニア出身の男性小説家である。1960年代に英国に難民として渡り、21歳から若くして小説の執筆を始めた。代表作は94年発表の「パラダイス」である。小説は主に難民や植民地主義、それに関連してアフリカ・カリブ海・インド地域がテーマとなっている。ノーベル賞における授賞理由は以下の通り。

“for his uncompromising and compassionate penetration of the effects of colonialism and the fates of the refugee in the gulf between cultures and continents”

「植民地主義の影響、異文化と大陸間における難民の運命について、妥協なく情熱をもって洞察した」

授賞式は12月に開催される予定だが、コロナウイルスの影響により、受賞者は居住国で表彰を受ける予定となっている。

一部で受賞が期待されていた、日本人作家の村上春樹氏は今年も受賞を逃した。