萩原恭次郎生誕120周年記念展が、群馬県立土屋文明記念文学館と前橋文学館で開催されることとなった。

萩原恭次郎(1899~1938)は、戦前において未来派、ダダイズム、構成派などを取り込んだ作風で多くの詩作を行い、『赤と黒』などの文芸誌や、詩集『死刑宣告』などを発行した。その作風は単に言葉を語るのではなく、紙面上でも大きく躍動するものだった。著名な前衛美術グループ「マヴォ」にも参加しており、日本の前衛美術運動の一端を詩の側面から担った。また、無政府主義にも関心を持ち、詩にも一部その様子が現れている。

詩集『死刑宣告』より、ラスコーリニコフ 筆者所蔵

また、同郷の詩人、萩原朔太郎との親交も知られている(なお、同姓ではあるが血縁関係は無い)。恭次郎と朔太郎は度々互いの作品を評価しあっている。

萩原恭次郎が今年で生誕120周年を迎えるのを記念し、群馬県立土屋文明記念文学館と前橋文学館ではそれぞれ連携して記念展を企画している。

群馬県立土屋文明記念文学館では10月5日から12月15日まで萩原恭次郎生誕120年記念展「詩とは?詩人とは?―大正詩壇展望―」を開催する。また、前橋文学館では、萩原恭次郎生誕120年記念展「何物も無し!進むのみ!」を11月2日から2020年1月26日まで開催する。どちらも展示解説や講演会などのイベントも予定されている。なお、両館の展示を観覧した者には『月に吠えらんねえ』オリジナルグッズがプレゼントされるという。是非この機会にどちらも両館を観覧し、萩原恭次郎の世界を様々な側面から楽しんでみてはいかがだろうか。

両館のイベントに関する詳しい情報は下記リンクを参照のこと。