トルコ政府が2016年のクーデター未遂事件に伴い、国内の公立図書館から約14万冊もの蔵書を回収・破棄していたことがわかった。これを受けて国際図書館連盟(IFLA)は2017年12月9日、この行為が知的自由を脅かす懸念のあるものだとの声明を出した。
死者290人を出したトルコのクーデター未遂事件は、憲法改正によって権限強化を目指すなど独裁色を強めつつあったエルドアン大統領に対し、軍の一部が決起したものだ。しかし計画は敢えなく失敗に終わり、その後の大粛清により政権基盤はかえって強固なものとなった。メディアにも弾圧の波はおよび、政権に批判的だった放送局や出版社など実に131社が閉鎖を命じられている。
図書館から回収されたのは、その際に閉鎖された出版社から刊行されていた書籍14万冊だ。トルコには全部で1,100あまりの公立図書館があるが、エルドアンを批判するような言論は残らず悪書として破棄されたことになる。
IFLAでは1999年に「図書館と知的自由に関する声明(Statement on Libraries and Intellectual Freedom)」を出しており、そこには、政治的な判断により情報へのアクセスを制限することは図書館の原理に反するとある。トルコがEU加盟を望みながら交渉が難航してきた原因のひとつも言論・報道の自由度の低さだったが、先ごろエルドアンは「もはやEU加盟を必要としていない」と発言した。トルコに図書館の自由が取り戻される日はまだまだ遠そうだ。
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