千葉・市川市文学ミュージアムでは、永井荷風の功績を偲ぶ「市川・荷風忌」を2017年5月3日(祝)に開催する。9回目となる今年は、講演「荷風の見つめた女性たち」、ひとり語り「ひかげの花」と2つの催しがおこなわれる予定だ。

江戸文化や花柳界にまつわる作品を多く残した永井荷風は、その反面、洋風化した「トーキョー」に嫌悪感を抱いていたことでも知られる。晩年は東京を離れて暮らしており、終戦後から死没までの約13年間は市川市内を転々とした。その縁から、市川市では没後50年にあたる2009年より毎年「市川・荷風忌」を開催している。荷風の忌日が4月30日だったため、ゴールデンウィークに重なるのも恒例だ。

講演者には、近代文学研究者の持田叙子が招かれる。荷風に関する著作も複数あり、なかでもサントリー学芸賞を受賞した『荷風へ、ようこそ』は名著として有名だろう。ちなみに講演のタイトルとなっている「荷風の見つめた女性たち」は、11月から同ミュージアムで開催予定の企画展のテーマでもあるので、その予習としても面白いかもしれない。

一方、ひとり語りは俳優座の女優・長浜奈津子によるものだ。三味線を用いて語るスタイルが人気で、昨年の荷風忌でも代表作「濹東綺譚」のひとり語りが披露された。今年の「ひかげの花」は娼婦とヒモ旦那との話とあって、その信条描写に注目したい。

入場無料で事前申込みも不要なので、ゴールデンウィークにこれといった予定のない人は荷風忌も候補に入れてみてはいかがだろうか。