2016年10月28日(金)、第23回小学館ノンフィクション大賞の選考結果が発表された。大賞(賞金300万円)に選ばれたのは柳川悠二氏の『永遠のPL学園 六〇年目のゲームセット』で、小学館より後日刊行予定となっている。選考委員は高野秀行、三浦しをん、古市憲寿の3名だった。

小学館ノンフィクション大賞は、1993年に創設された公募文学賞だ(当初の名称は「21世紀国際ノンフィクション大賞」)。過去に最相葉月『絶対音感』や杉山春『ネグレクト』など、ノンフィクションとしては異例といえるヒット作を数多く輩出している賞であり、ノンフィクション作家にとっては登竜門的存在として知られている。

受賞した柳川氏は1976年生まれの39歳で、大学在学中よりスポーツ取材を行ってきたノンフィクションライターだ。タイトルから想像がつくとおり、今回の受賞作もスポーツが主題となっている。輝かしい実績をもつ野球名門校でありながら今夏その歴史に幕を閉じたPL学園野球部の、最後の部員たち12人の成長を追った文章だという。野球関連のノンフィクションには名作が多いので、この作品にも期待したい。

なお、選考とは関係ない部分ではあるが、今回の大賞賞金が300万円だったという点が筆者には気になった。一見すると高額賞金のように思えるかもしれないが、実は前回までこの賞の賞金は500万円だったからだ。さらに遡れば、第13回まではなんと1,000万円が贈られていた。実情はわからないが、この減額が出版不況の直接の影響によるものであるのだとすれば、大いに憂慮すべき事態であろう。