今月は新潮、文學界、群像、すばるの4誌が発売された。4誌の概観をここで紹介しよう。
新潮 2026年7月号
・【特集:今あえて、イスラエル人作家 エトガル・ケレットと考える】として、ガザ虐殺をはじめ、イラン攻撃などネタニヤフ政権下で世界中から非難されているイスラエルの映画監督でもある、作家エトガル・ケレットとともに戦争と平和について考える。エトガル・ケレット「戦争日記」(秋元孝文訳)、円城塔「ところで」、温又柔「ここが、戦場でないなら」、木村友祐「リードのない命の世界で」、福永信「未来の読者の皆さんへ」、本谷有希子「ポケットの戦争」、エトガル・ケレット「混乱を讃えて」(秋元孝文訳)を一挙掲載。写真|ファトマ・ハッスーナ。
・【創作】では、ミランダ・ジュライ「はいつくばって」Chapter1-6(岸本佐知子訳)が掲載。ほか内田ミチル「温室の鳥」、筒井康隆の掌編「山猫」、川上弘美の連作「あなたたちはわたしたちを夢みる」12、小山田浩子の連作「からの旅」6(上)がそれぞれ掲載。
・「第39回三島由紀夫賞」受賞作は、豊永浩平「はくしむるち」。本文を一部掲載、選考委員の川上未映子、高橋源一郎、多和田葉子、中村文則、松家仁之による選評も。さらに、受賞記念エッセイ「壁のなかのひとつの煉瓦」。
・伊藤亜紗による新連載「未来の身体」(第1回)親になる1がスタート。
文學界 2026年7月号
・ひうち棚による漫画「じんせい」。
・【創作】では、筒井康隆「サム・スペードによろしく」。探偵・犬丸が今度は父・乙彦とタッグを組み連続殺人事件に挑む。ハードボイルド・ミステリ第二弾。小林エリカ「流星」、石沢麻依「青の瞼」(連作2)が掲載。
・【特集】「ファッションと文学 again」として、対談では、小川洋子×朝藤りむ(pays des fees)「誰かのために拝む作品」、魚豊×大月壮士(SOSHIOTSUKI)「都市を生きる服と漫画」、島田雅彦×飯野麟太郎(rintaro iino)による往復書簡「先生と教え子は、変化と不変の10年を経て、手紙の中で再び出会う」、ルポ「金原ひとみとコナリミサト、109に行く」、伊賀大介「言葉から衣装を立ち上げる」、北村道子のインタビュー「作家の感情なんて読みたくない」。
さらに、エッセイでは紅甘「楽しくて平和な遊び」、伊藤亜和「虚業」、津野青嵐によるレポート「ムンクの上に浮かぶ―メトロポリタン美術館での作品展示について」、吉田圭佑のロングエッセイ「分裂を抱いて」、ほかにアンケート「あなたにとって、ミューズとは?」として、舟山瑛美(FETICO)/辻野伽凜(KARIN TSUJINO/村上亮太(pillings)/大野陽平(YOHEI OHNO)/島根由祈(YUKI SHIMANE)/石田萌(HOUGA)/具志堅幸太(Kota Gushiken)/納所友梨/横澤琴葉(kotohayokozawa)/田中大資(tanakadaisuke)、佐原愛美の創作「私はエミリー・ディキンソン」。
また、期間限定で文學界×STOFのコラボグッズを再販。STOFデザイナー・谷田浩インタビューが掲載。
・篠原勝之による遺稿「痰譚」が掲載。逝去の2時間前に編集者へ届いた、自らの闘病を綴る最後の小説。篠原を追悼して、山田詠美「「ダチ」と呼ばれて」、麿赤兒「解脱の色気」、南伸坊「クマさんは深沢七郎さんを尊敬していた」、篠原純子「離陸」。
・下西風澄の新連載「計算(アルゴリズム)と霊性(スピリチュアリティ)」がスタート。
群像 2026年7月号
・【批評総特集・「論」の遠近法2026】として、東浩紀×福尾匠による対談「批評家とは何者か」、青本柚紀「秩序からの逃走 失敗と文化批評の抵抗」、北川光恵「〈ハイブリッド精神〉をポケットに入れて 宮迫千鶴論」、小峰ひずみ「政治家とアイドル 日本にとって“メガチャーチ”とは何か?」、原武史「1条をどう評価すべきか 新潟県における憲法論議」、三浦雅士「思春期というニヒリズム 自分を騙す快楽」、水上文「使い道のないディルドと親指ペニス、クィアな想像力について」と批評を一挙掲載。
さらに、高森順子「声の避難所」、林大地「「物」をほどく」、古川日出男「ツァラの創作論 小説家はどう長篇を書いているのか」と批評新連載がそれぞれスタート。
・創作では、島田雅彦による新連載「先祖返り」がスタート。金原ひとみ「さようなら私たち」、石田夏穂の中篇「お疲れのところはございますか?」を一挙。
・伊藤春奈のノンフィクション「なぜ、彼女たちは「犯罪者」になったのか」、エッセイでは、木村衣有子「よわねいろ」、武田砂鉄「具体的な話」の新連載がそれぞれスタート。
すばる 2026年7月号
・【特集:SNSが好きで嫌いで】として、小説では、村田沙耶香「喪失」、鈴木結生「新しい本棚を共有する。」、奥田亜希子「イデオロウィンの行進」、小砂川チト「犬たちの頭痛」が掲載。エッセイでは、桜庭一樹「太宰治が翻訳不可能なSNSの地平で」、ひらりさ「アテンション・モンスター2026」、佐々木チワワ「それっぽい街、歌舞伎町のリアル」。
さらに、論考では、戸谷洋志「SNS時代における社交」、李舜志「SNSの脱構築──「地獄」で息継ぎするために」。田中慎弥のインタビュー「スマホを持たない小説家への50の質問」を一挙。
・【憲法改正の見取り図 勉強会ルポ1】として、安達茉莉子「平場の民主主義ノート 2026年4月、立憲主義の夜」(解説:五野井郁夫 司会:安達茉莉子・西本千尋)。
・山田詠美による新連載「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」がスタート。
・桐野夏生による連載「聞こえたり聞こえなかったり」、岡本隆司の連載「中国怪人列伝」がそれぞれ最終回を迎える。
以上、今月の文芸誌読みどころを紹介した。読書の一助になれば幸いである。

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