王谷晶『ババヤガの夜』のサム・ベットによる英訳版『The Night of Baba Yaga』(Faber&Faber、2024年9月刊)が7月3日(日本時間4日)、英国推理作家協会が主催するダガー賞〈翻訳部門〉を受賞した。
ダガー賞は、英国推理作家協会が主催するミステリー小説・犯罪小説に贈られる文学賞で1955年に創設された。翻訳部門は、英語以外の言語で書かれ、英国で出版された、英語翻訳作品に対して授与される賞。これまでに仏小説家、考古学者フレデリック・ヴァルガス、スウェーデンの推理作家、児童文学作家ヘニング・マイケルなどが受賞している。
王谷の受賞は日本人として史上初で、アジアの作家としても2021年に受賞した韓国の推理作家ユン・ゴウン以来、史上2人目。『ババヤガの夜』は、2020年「文藝」秋季号の特集「覚醒するシスターフッド」で全文発表され、同年10月に単行本化、2023年5月に文庫化されている。
あらすじは――暴力を唯一の趣味とする新道依子は、腕を買われ暴力団会長の一人娘を護衛することに。拳の咆哮轟くシスターハードボイルド――
最終候補には、日本から柚木麻子『BUTTER』(訳:ポリー・バートン)もノミネート選出されていた。現在イギリス、アメリカ、韓国で翻訳刊行されており、今後ドイツ・イタリア・ブラジルで出版予定とのこと。
受賞は逃したものの、今年の国際ブッカー賞最終候補には川上弘美『大きな鳥にさらわれないように』もノミネートされており、日本文学における女性作家の活躍が見覚ましい。これからも多くの日本文学が世界で読まれることに期待したい。
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