筑摩書房・三鷹市共同主催の「第40回太宰治賞」が5月10日に発表され、受賞作に市街地ギャオ「メメントラブドール」が選ばれた。

 同日に選考委員の荒川洋治、奥泉光、中島京子、津村記久子による最終選考が行われた。最終候補作品には受賞作のほか、蒼生行「フォルムレス・ヒール」、敏伊佑季「アニサキスと何処迄も高い月」、村上岳「堆積するもの」が挙がっていた。

 市街地ギャオは1993年大阪府出身・在住。「メメントラブドール」のあらすじは、「私」にはいくつか顔がある。マッチングアプリでノンケの男を喰う「私」、男の娘コンカフェでキャストな「私」、SIer企業でダウナー院卒若手社員をつとめる「私」、高専時代は姫でいられたかつての「私」、その武器ももはや壊れ始めている「私」、それでも誰かを欲しがる「私」、幸か不幸かすべてが己と理解しつつも世界にエラーが起きていく。貼りつけられたペルソナたちがハレーションする新宿区在住20代♂の令和五年。

 なお、贈呈式は6月14日に都内の如水会館で開催され、受賞者には記念品および賞金100万円が贈呈される。