Lulu.comは電子書籍および紙の書籍のセルフ・パブリッシングが行えるプラットフォームで、破滅派でも以前特集したことがある。アンケート結果によれば、無料を含めると500ドル以下で72%を占める。1,000ドル以上をかける猛者も一定数いるが、10%程度のようだ。マーケティング予算の内訳は次の通り。

マーケティング予算の内訳

マーケティング予算の内訳

約4分の1が広告に使われている。続いて、自分のサイト、そして自著の配布(出版社から本を出しても、著者割といって少し安く買える制度が存在する)という順になっている。ブックデザインがマーケティング費用に含まれているのは、たしかに考えてみればその通りだ。

広告予算の内訳

広告予算の内訳

さらに広告予算について見てみると、多くがネット上の広告として予算が割かれている。補足しておくと、オンライン広告とは、おそらくディスプレイ広告ネットワークのことである。PPC広告はPay Per Clickなので、クリックごとに広告量が発生するもの。したがって、よくある「ネットの広告」は66%ということになる。Facebook広告も少し性質は異なるが、基本的には似たようなものなので、それを含めると83%だ。TVが2%というのは、一部の潤沢な予算を持つ作家がCMを打ったということだろう。

まとめると、プロモーション予算としては5万円が限度である一方、まったく予算をかけずに売れることは少数派のようだ。したがって、セルフ・パブリッシングだからといって、お金をかけないことにこだわると、売上を伸ばせなくなるのかもしれない。

最近ではFacebook広告やtwitterプロモーションなど、手軽に始めることができる広告が増えているため、5,000円程度から初めて効果測定をしてみてはいかがだろうか。ただし、筆者の経験からすると、リスティング広告(検索エンジンに連動した広告)は実用書などでない限り効果は薄い。なるべく作家としてのブランドを高めるような広告の打ち方をするのが望ましい。

他にも次のようなマーケティング手法はすぐに取れるので、試してみて欲しい。

  • ゲラを送付する。電子書籍でも印刷は可能なので、少し凝ったゲラを作成・送付し、レビューしてもらう。
  • 缶バッジ、シールなどのノベルティを配布する。
  • イラストレーターやデザイナーにブックデザインを依頼する。

ちなみに、Lulu.comは「ベストセラー作家」の定義を明かしていないので、厳密にどの程度の規模なのかはわからないが、上位4,000人の作家からアンケートを取ったとのことなので、それほど意味のない統計ということにはならないだろう。