今月は新潮、文學界、群像、すばる、文藝の5誌が発売された。5誌の概観をここで紹介しよう。

新潮 2026年11月号

・「第58回新潮新人賞」受賞作は、花江科斗「光の棄却」。受賞者インタビュー「反出生主義」と向き合って」と選考委員の上田岳弘、金原ひとみ、九段理江、柴崎友香、滝口悠生による選評も併せて。

・「第34回萩原朔太郎賞」受賞作は、井坂洋子「文鳥」。選考委員の杉本真維子、日和聡子、松浦寿輝、三浦雅士、和合亮一による選評も。

・「第25回小林秀雄賞」受賞作は、藤原辰史「生類の思想──体液をめぐって」。選考委員の伊藤亜紗、片山杜秀、國分功一郎、酒井順子、森田真生による選評も。

・【創作】では、畠山丑雄による芥川賞受賞第一作「デッド・レター」。市川沙央による連作「良心的兵役拒否 [7]覚醒」 。

文學界 2026年11月号

・<特集>では、「作家的散策」として、山崎ナオコーラ「エディンバラ国際ブックフェスティバル・レポート」、万城目学「太宰交歓」、戌井昭人「わが町ではない横須賀」、仁科斂「弾痕からアートになる」、櫻木みわ「私はそこにたどりつきたい――奄美群島、その一部」を一挙。

・<ヘミングウェイ『日はまた昇る』刊行百年>として、菅井大地の批評「癒えない傷を抱えて生きる方法――『日はまた昇る』のダメな人たち」が掲載。

・村上春樹のロング・エッセイ「ブルーズをそっと歌って」。

・平野啓一郎×ブレイディみかこによる対談「複雑過ぎる世界で政治はどうあるべきか」が掲載。

・【創作】では、筒井康隆「帰郷」、絲山秋子「お忘れ帳と泉の記憶(神と古代人 3)」、小野正嗣「雪の浜」、草間小鳥子「八月のさざめき」、沓乃よう「指先まで雨が降っている」が掲載。

群像 2026年11月号

・【エッセイ特集】「先生とわたし。」として、石田夏穂/伊藤亜和/大森静佳/岡田悠/尾崎世界観/小原晩/木下龍也/酒井順子/坂口涼太郎/佐野亜裕美/澤部渡/市街地ギャオ/篠原梨菜/田口かおり/中村佑子/奈倉有里/乗代雄介/橋本直/僕のマリ/保坂和志/堀井美香/マーサ・ナカムラ/マライ・メントライン/水上文/皆川博子/三宅香帆のエッセイを一挙。

・【創作】では堀江敏幸「泥の底」、三国美千子の中篇「ごい様の杖」が掲載。

・小川公代による連載「ジャッジメンタルな時代 ネガティヴ・ケイパビリティ考」が最終回を迎える。

・柄谷行人の新連載「新約聖書 変奏」、滝口悠生の新連載「枠井梓の独り言とその宛先」がそれぞれスタート。

すばる 2026年11月号

・「第50回すばる文学賞」受賞作は、オカワダアキナ「話の諸島」と佐藤勝乃「テクノロジカル・ポリス」の二作。選考委員の奥泉光、金原ひとみ、川上未映子、岸本佐知子、田中慎弥による選評とオカワダアキナ、佐藤勝乃の受賞者インタビューも併せて。

・【憲法改正の見取り図:勉強会ルポ 2】として、安達茉莉子「平場の民主主義ノート 濁流のショック・ドクトリン──落ち合う場所を作る」(解説:五野井郁夫 司会:安達茉莉子・西本千尋)。

・姜尚中による連載「岸信介の思想と行動」〈27〉が最終回を迎える。

・高瀬隼子による新連載「影踏む人のためのパレード」がスタート。

文藝 2026年冬季号

・「第63回文藝賞」受賞作は、唐川らい「いっしょに老衰しようね」と山岡桜寿「つづけて生きてられません」。二人による受賞の言葉と選考委員の小川哲、金原ひとみ、町屋良平、村田沙耶香による選評も併せて。

 さらに、金原ひとみ×唐川らいによる受賞記念対談「『君』に会うために、言葉をデコり尽くす」、町屋良平×山岡桜寿「細部に記憶が宿る、奇妙な日常と悟りの予感」も。

・【特集】「演じる身体、なりきれない身体」として、短篇ではピンク地底人3号「ひかるとあかり」、松田いりの「寿司男」、升味加耀「柔面皮」。鼎談では、岡田利規×いとうせいこう×安田登「間を読む身体、役者という器」、論考では木下千花「『国宝』とホモソーシャリティ」、赤坂真理「生まれ、死に、よみがえる劇」。エッセイでは、桜庭一樹「模倣から始まらない創作なんて本当にあるのかな?」、青柳いづみ「わたしの身体はだれのもの?」、蝉谷めぐ実「役名・小説家」、岡田彩夢「皮」。

・【創作】では、福田節郎「私は寝落ちするまで」、しじまむらさき「ニュートリリオンホール内きっずみる」、才谷景「聖異物」が掲載。

・絲山秋子による新連載「階段から落ちてよかった」がスタート。

以上、今月の文芸誌読みどころを紹介した。読書の一助になれば幸いである。