今月は新潮、文學界、群像、すばるの4誌が発売された。4誌の概観をここで紹介しよう。

新潮 2026年10月号

・【特集】「批評、考察、その先へ──」として、大澤信亮×町屋良平×三宅香帆による鼎談「文芸批評のこれまでとこれから」、朝吹真理子×福尾匠の対談「クリテイカル・シンキング・ナウ」。

 さらに、【実践】として、大島育宙「ゴムマスク狂想曲──『VIVANT』、考察、陰謀論」、瀬戸夏子「よく食べ、よく眠り──吉本ばななとどんぶりと暗い「母」」、奈倉有里「怒るか、燃やすか、育てるか──十九世紀ロシア文学と批評の葛藤」、蓮實重彦「演じることの饗宴──濱口竜介の新作『急に具合が悪くなる』は、いかなる画面の連鎖として見るものを魅了するのか」、柳澤田実「世界の終焉を退ける執着(obsession)──Charli xcx,エメラルド・フェネル」、山本浩貴(いぬのせなか座)「演説と記述──批評とは何とともに、何を考え、何を行なうものなのか?」、綿野恵太「表象から感染へ」を一挙。

・「第58回新潮新人賞」予選通過作品発表 。

・【創作】では、筒井康隆による11年ぶりの長篇小説「ノスタルジア・ゾーン」、多和田葉子の連載小説「幻の熱帯雨林(第3回)」、 川上弘美の連作「あなたたちはわたしたちを夢みる 14」が完結。

文學界 2026年10月号

・【特集】<特集1>として、2007年から務めていた芥川賞選考委員を退任することを発表した小川洋子に贈られた選評を歴代芥川賞受賞者が噛みしめる「小川洋子 芥川賞選考委員の軌跡」。エッセイでは、小砂川チト「ツトムと小川洋子先生とわたし」、高山羽根子「足音と一緒に」、沼田真佑「前九年のしのぎ」、山下澄人「森の焚火」、藤野可織「救いと戒めと秘密」、田中慎弥「手強い」、磯﨑憲一郎「落選回の選評と昭和十一年生まれの父」、<選評を読む>として、鵜飼哲夫「血豆つくり、入魂の選評」。

・<特集2>では、「鴻池留衣とは誰か?」として鴻池留衣×水上恒司×武井佑吏による鼎談「わかりやすさへの抵抗―『本当にあった話(の話)』映画化の軌跡 」、武井佑吏のエッセイ「『本当にあった話(の話)』書評にかえて」、鴻池留衣×尾崎世界観の対談「純文学の(不)自由」、クロスレビューでは、福海隆「いちごのショートケーキをぶち込め」、山本莉会「失せたる一匹と純文学」、駒田隼也「埒外な言葉づかい」、古川真人のエッセイ「失われたサイン」、さらに鴻池留衣による創作「A Deeper Understanding」。

・<特集3>では、「文学者はプールがお好き」として九段理江×伊舎堂仁による対談
「プールは時間を歪ませる」、長嶋有のインタビュー「助手席発、プール行き」、ルポ
では、畠山丑雄「川のほとりで」、原宿「思い切って黄色いキャップを」、エッセイ&プレイリストでは、小原晩「泳げる気がする」、佐佐木陸「鶴ヶ島海洋センター」。

・【創作】では、古川真人「わたしが/を住む夢」、沼田真佑「葡萄畑」が掲載。

・【詩歌】では、三角みづ紀「うつろい」。

群像 2026年10月号

・今号は創刊80周年記念特大号。筒井康隆「ストリート・ギャングス」、町田康「だぼ」、井戸川射子「純粋な二」。

・創作では、くどうれいん「ストーブ」、津村記久子「小説家に小説を書いてもらうには」が掲載。

・多和田葉子「不在事件」が最終回を迎える。

・【小特集・群像新人文学賞】として、町田康×永田修矢の対談「書いた端から?になる」、永田修矢のエッセイ「私、俺、僕、あいつ」、冬島いのりによる創作「善用」、冬島いのりのエッセイ「肉の弱さ、魂の聖潔」。

・【追悼・山田五郎】として、小林恭二「たほいやの頃」。

すばる 2026年10月号

・山田詠美による【不定期連載第二回】「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」、綿矢りさの【不定期連載第三回】「シャブシャブ上海」、谷崎由依による【創作】「欠損」が掲載。

・【集英社創業100周年記念特集:100人が書く「百年後」】として、巻頭詩/ラビンドラナート・タゴール(佐々木美佳 新訳)青山七恵、朝井リョウ、朝比奈秋、朝吹真理子、綾木朱美、有賀未来、池澤夏樹、石井遊佳、石沢麻依、石田夏穂、市川沙央、井戸川射子、井上荒野、上田岳弘、ウン・ヒギョン(オ・ヨンア 訳)、王谷晶、大崎清夏、大田ステファニー歓人、大谷朝子、大前粟生、岡野大嗣、小川洋子、奥泉光、奥田亜希子、小津夜景、小野正嗣、小山田浩子、温又柔、金原ひとみ、辛島デイヴィッド、川上弘美、川野芽生、金石範、木村紅美、木村友祐、桐野夏生、久栖博季、九段理江、暮田真名、グレゴリー・ケズナジャット、小池水音、小磯洋光、小林エリカ、小林坩堝、駒田隼也、坂本湾、櫻木みわ、桜庭一樹、佐藤厚志、更地郊、柴崎友香、芝夏子、島口大樹、島田雅彦、張天翼(濱田麻矢 訳)、新庄耕、鈴木結生、砂川文次、高瀬隼子、高橋源一郎、高山羽根子、滝口悠生、田中慎弥、谷崎由依、多和田葉子、千種創一、辻原登、辻山良雄、ローレル・テイラー、年森瑛、豊永浩平、鳥山まこと、長井短、永井みみ、中西智佐乃、中村文則、梨木香歩、西加奈子、乗代雄介、畠山丑雄、樋口六華、福田節郎、藤野可織、古川真人、ブレイディみかこ、星野智幸、堀江敏幸、又吉直樹、町田康、町屋良平、松家仁之、松浦寿輝、松田いりの、森田真生、八木詠美、山内マリコ、山崎ナオコーラ、バリー・ユアグロー(柴田元幸 訳)、李琴峰、ブライアン・ワシントン(小磯洋光 訳)。

・「第50回すばる文学賞」二次予選通過作が発表。

・【『わたしを庇わないで』刊行記念対談】として、石田夏穂×酒井順子「新しい時代の悪口を求めて」。

以上、今月の文芸誌読みどころを紹介した。読書の一助になれば幸いである。