7月17日、日本で最も有名な文学賞である、第171回芥川龍之介賞・直木三十五賞の選考会が行われ、受賞作が発表された。

芥川賞 朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』、松永K三蔵『バリ山行』

今回、芥川賞を受賞したのは、朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』(「新潮」五月号)、松永K三蔵『バリ山行』(「群像」三月号)。両者とも初のノミネートでの受賞となった。

朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』は、結合双生児の姉妹である杏と瞬の姿を通して人間の多様さを描く。朝比奈秋は医師としての経験を活かしながら執筆活動を行っており、2021年にデビューし、2023年に『植物少女』で三島由紀夫賞、同年『あなたの燃える左手で』で泉鏡花文学賞と野間文芸新人賞を受賞している。

松永K三蔵『バリ山行』は、建外装修繕会社に勤める主人公が、登山部に入部し、山を通して様々な体験を積み重ねていく様子を描く。松永K三蔵は2021年に「カメオ」で第64回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビューした。

直木賞 一穂ミチ『ツミデミック』

今回、直樹賞を受賞したのは、一穂ミチ『ツミデミック』(光文社)。三回目のノミネートでの受賞となった。

『ツミデミック』は、コロナ禍を背景に繰り広げられる6編の短編を収めた犯罪小説集である。タイトルは罪とパンデミックを合わせた造語である。一穂ミチは2021年に『スモールワールズ』でデビューし、同書は第9回静岡書店大賞、第43回吉川英治文学新人賞を受賞している。