北九州市が主催する「第10回林芙美子文学賞」が発表され、大賞を大原鉄平「森は盗む」が受賞した。佳作には鈴木結生すずきゆうい「人にはどれほどの本がいるか」が選ばれた。

 『放浪記』や『浮雲』などの作品で知られ、その生涯にわたり庶民に寄り添って創作を続けた北九州市ゆかりの作家・林芙美子にちなみ、同市の文学的土壌を全国に発信するとともに、新たな文学の才能を発掘するという目的で2014年に創設された。

 最終候補作品には、受賞作のほか、青野晶「進撃のエチュード」、杉森仁香「宙づりの幸福」、楢橋姉妹「OWAKARE♯2」の五作品があがっていた。

 最終選考委員は井上荒野、角田光代、川上未映子の三人。1月26日に都内で最終選考会が行われ、応募作450編の中から受賞作品を決定した。

 表彰式・記念トークは2月25日にJ:COM北九州芸術劇場(中劇場)で行われる。大賞受賞者の大原には賞金100万円、 佳作の鈴木には賞金10万円がそれぞれ贈られる。記念トークでは、選考委員の三人が登壇し、聞き手を北九州市立文学館の今川館長が務め「この10年を振り返る -選考、仕事、生活」というタイトルでトークセッションを行う。

 なお、受賞作の「森は盗む」は文芸誌「小説トリッパー」(朝日新聞出版)に掲載される予定。