高知県立文学館では現在、「酒と文学展 ~『土佐日記』から吉田類まで~」を開催している。これは同館が開館20年(=成人)を迎えたのを記念しての企画展で、高知ゆかりの作家たちの酒にまつわる逸話にフォーカスした展示となっている。会期は2018年1月14日まで。
高知県と酒とのつながりは深い。風土記で「酒の産地」と紹介されているほか、紀貫之『土佐日記』には「ありとある上下、童まで酔いしれ」という記述があるほど酒飲みの多い土地柄として有名だ。この県民性は現代も変わらず、2016年の総務省の調査では47都道府県で最も飲酒にかける費用が高額な県だという統計さえある。「酒場放浪記」で近年人気の吉田類も高知出身だ。
本展では、そうした高知の文学と酒とのかかわりを3構成で展示している。1つめは「土佐の酒と文化」コーナーで、県内の主要な酒蔵や高知ならではの酒宴文化が紹介される。2つめは「土佐の酒と文学の系譜」コーナーで、大町桂月や吉井勇といった高知の文人たちの飲酒エピソードや酒を通じた友情などが取り上げられる。そして3つめのコーナー「酒場詩人・吉田類」では、吉田類による直筆俳画や愛用品が展示されている。
神話の時代から酒と文学には深いかかわりがありながら、文学館で酒に焦点を当てた企画展というものはなかなか見られない。酒も文学も好きという人間であれば大いに楽しめるのではないだろうか。
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