日本古典文学の金字塔『源氏物語』が、角田光代による現代語訳で河出書房新社より刊行される。これは2014年から配本がスタートしていた『池澤夏樹=個人編集日本文学全集』のトリを飾る作品で、三分冊での刊行となる。上巻の発売日は2017年9月11日に決定している。
平安時代中期に成立した紫式部の『源氏物語』は、「人類最古の長篇小説」(異説あり)ともいわれる歴史的文学作品だ。学校の国語や日本史の授業でも必ず登場する作品なので、タイトルすら知らないという日本人はほとんどいないことだろう。 映像化や漫画化などもたびたび行われており、誕生から1000年以上が経過した今も人気は衰え知らずといえる。20以上の言語に翻訳されるなど、海外でも日本文学の代表格として親しまれている名作だ。
今回の角田訳では、自然で生き生きとした会話の再現や、ほとんどの敬語を廃した点などが特徴として挙げられている。河出書房のサイト上では「もっとも読みやすく美しい源氏」とまで謳っており、よほど出来映えに自信があるのだと見られる。角田自身も、この翻訳のために長篇小説の執筆を完全に休止していたそうで、力の入れようが伝わってくる。
これまでの現代日本語訳としては与謝野晶子や谷崎潤一郎によるものがよく知られているほか、平成以降では瀬戸内寂聴訳も評価が高い。名だたる文豪たちの仕事を差し置いて「もっとも読みやすく美しい」というのだから否が応でもハードルは上がるが、はたして読者の期待を超えることができるのだろうか。時間に余裕のある読者は現代語訳の読み比べをしてみるのも楽しいかもしれない。
なお9月19日には、東京・紀伊國屋ホールで角田と池澤が出演する刊行記念イベントも予定されている。興味のある人はそちらもあわせてチェックしよう。
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