メルカリの説明文はひたすら商品の状態説明に終始しており、出品理由を特に書いていない。現在の出品価格は8,440,000円(税込)となかなか強気の値段設定だ。3,000,000円ぐらいなら売れるかもしれない。
財団法人 日本文学振興会主催、第131回芥川龍之介賞 正賞の「銀製 懐中時計」です。
※【「副賞」の「(現金)100万円」は付属しません。】2004年8月20日に授かった賞で、実物(本物)です。
メルカリ
モブは自身のブログ記事について商品の説明ページで言及し、この出品が正式なものであることを証明している。その記事によると、あまりにも簡単に出品できたことで蒙を開かれたこと、これまでIT・テクノロジー系への不信感があったことなどが記されているが、芥川賞受賞記念品ともいえる時計に対して特に愛着がないこともうかがえる。
これまでの20年間で、一秒たりとも、本当の意味で、自分の所有物だとは感じたことのなかったこの芥川賞正賞の時計が、メルカリへの出品によって、やっとはじめて、電子情報化を経た手続きによって出品されることで、自分の所有物になったのかも、という気がしています。
その一方で文學界新人賞の記念の時計は家でも使っており、大切に思っているようだ。このモノに対する愛着の違いが、モブという作家の特異なキャリア(文學界新人賞受賞作『介護入門』で芥川賞を取り、その後は本があまり出ていない)と関係しているかどうかは読者の想像にお任せしておこう。余談ではあるが、筆者は新潮新人賞の記念品である盾(ミステリー小説で鈍器になるぐらい重い)をブックエンドとして使っている。
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