会う予定ではないけれど、まっすぐに髪を伸ばして綺麗な服を着ました。だって通りで偶然出会わないとも限らないもの。どこにいてもあなたがいるかもしれない路地。日本ならどこでもあなたの住む街。 &nbs…
あなたがくれたたった三匹ほどの優しいイースト菌を膨らませて膨らませて、私は毎朝食べるパンになりました。でもほんとは、あなたがくれたのはただのベーキングパウダーで、私のことはたまに食べるクッキーに…
あなたはとてもいい絵を描きますね。優しい純情の絵です。混ざり合った明度の高い絵の具は、悩むあなたの思考。 あなたはとてもいい言葉を使いますね。上品な暖かさの言葉です。世界への真直な眼差しと、散り…
会話を始めるのはいつも私からな気がします。よく考えれば気のせいかもしれません。偶然会えばあの人からも挨拶してくれますから。いや、やはり向こうからは挨拶程度で、一緒に帰ろうだとか、L…
あなたはとても賢くて、この世界の何倍も広い場所を頭の中に持っています。見たことのない大きな建物に暮らし、私の知らぬ本を読み、私のわからぬ話し合いをするのでしょう。都会で育ったあなたの部屋に、たく…
はじめてあなたが私に話しかけてくれた日は祝日。しかしそれは、私があなたと同じ夢を追う旅人だから、宿の案内を私に頼みにきただけだったのです。私は便利な情報屋です。 あなたはなんて良い人なんでしょう…
あなたが私に話しかけてくれた日に、月は再び輝き満ち始めました。手がじんじんと痺れ、小指の先まで真っ赤な血がどくどくと巡るのがわかりました。 人を愛するということ!なんて恐ろしく美し…
油絵科の学生 放課後、制作のあと 絵具のついた指
自分のために書いた文章を、見ず知らずの他人に公開するという試み
数年ぶりに皮膚科に行ってみた話。外の世界。
10年ほど前に少しばかり流行った作家のことを、覚えている人はもう誰もいない。
破滅派は同人サークルから出発していまや出版社となりました。
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