西脇順三郎賞実行委員会が主催する「第2回西脇順三郎賞」を広瀬大志『毒猫』(ライトバース出版)が受賞。また「西脇順三郎賞新人賞」を奥山紗英「光を型抜き」が受賞し、奨励賞に上杉健太郎「夏缶」と末野葉「バベルの塔」が選ばれた。

 「西脇順三郎賞」・「西脇順三郎賞新人賞」は、現代の詩界を担う詩人の称揚と次代を創る新人の発掘を図ることを目的に2022年に創設された。

 広瀬は1960年熊本県生まれ、埼玉県在住。詩にモダンホラーやミステリーの要素を導入し、独自な想像世界を展開している。主な詩集に『喉笛城』『ミステリーズ』『魔笛』『現代詩文庫広瀬大志詩集』(以上、思潮社)。

 奥山は、1999年鹿児島県生まれ。早稲田大学文化構想学部文芸・ジャーナリズム論系卒業。大学の授業をきっかけに詩を書き始め、雑誌に投稿を始める。2023年に第一詩集『双子』(七月堂)を刊行。

 2022年7月1日~2023年7月31日に刊行された現代詩の詩集を対象とした西脇順三郎賞には69点、詩篇を対象とした新人賞には268点の応募があった。西脇順三郎賞には受賞作のほか、大谷良太『方向性詩篇』(編集室水平線)、尾久守侑『Uncovered Therapy』(思潮社)、文月悠光『パラレルワールドのようなもの』(思潮社)、砌アイコ『曇りの昼寝』(青山ライフ出版)、森川雅美『疫病譚』(はるかぜ書房)の六点が最終候補に、新人賞には、受賞作と奨励賞のほか、古林暁「かたつむり」、塩崎浩樹「三人による共作エチュード」、森川ハルカ「秋が来た」、森水陽一郎「朱の友」の七作がそれぞれあがっていた。

 選考委員会は委員長を詩人の野村喜和夫が務め、詩人の朝吹亮二、西脇順三郎研究者である太田昌孝、歌人の加藤孝男、詩人の小池昌代の五人。2月3日・4日に小千谷市で2次選考会を行った。

 贈呈式は3月16日に、新潟県小千谷市民会館大ホールで行われる。西脇順三郎賞受賞者の広瀬には正賞として賞状、副賞として賞金30万円が贈られる。新人賞には賞状と賞金3万円、奨励賞には賞状と賞金1万円がそれぞれ贈られる。

 なお、文芸誌『現代詩手帖3月号』(思潮社)に受賞作の一部と選考会の講評が掲載される予定。