こんにちは。高橋です。破滅派は2011年4月にリニューアルを予定しています。基本的にミニコmeの開発が完了してからになりますので、予定どおりにことが運ぶかは神のみぞ知るなのですが、一応その全貌について、回を追って説明したいと思います。
前提
破滅派はその理念にもある通り、そもそも作品を発表する場所として創設されました。出版にせよ、Webにせよ、いまは発表する場所自体が存在しないわけではありません。破滅派はその名前が示す通り、オルタナティブな場所として出発しました。
また、破滅派の特徴の一つとして、その技術的なアドバンテージがあります。もちろん、あまたあるWebサービスと比べるといささか見劣りしますが、手弁当として始まった文芸同人誌としては、かなり高度なシステムを持っていると言えます。
破滅派はこれまでも何度かリニューアルを繰り返してきましたが、今回のリニューアルはかなり大規模なものになると同時に、破滅派の存亡を賭けたリニューアルとなります。
なぜ破滅派の存亡を賭けなければならないのか
破滅派はもすうぐ四周年を迎えます。それより先に消滅してしまう同人誌もたくさんあることを考えると、これはかなり長い期間だと言えます。もちろん、それより長く続いている同人誌も沢山ありますが、「長く続いている」のは過言ではないでしょう。
ただ、漫然と長く続けることは僕の本意ではありませんし、個人の力でできることには限界があります。僕のモチベーションなどを考えると、破滅派が今の形で続けられるのはあと1、2年だと思います。すぐそこに迫っている本当の破滅をムーンウォークですり抜けるために今回のリニューアルを行います。
サステナビリティのための損益計算
現在破滅派は株式会社として法人化していますが、その利益の大半は僕が行っているWeb制作業務です。ここの儲けや同人からの借入金などが紙の破滅派出版費用やサーバ代などになっています。まあ、大した額ではないので別にいいんですが、本当は単行本出したりしたいので、なんらかの儲けを考えないといけないと思っています。
これについては次回、こってり書こうと思っています。
コンテンツ作成フローの見直し
現在、破滅に投稿された作品は下記のようなフローで公開されています。
- 投稿されると担当者にメールが行く
- 担当者は順番に校正していく
- 校正が完了すると、ファイルをFlash形式に変換する
- 次号発表時にアップロードする
これはまあ、僕がまだWebの技術に明るくなかったためこうしたのですが、現在は非常に負荷が高く、ようするにめんどくさいフローとなっています。
今後は運用の負荷を下げて自由に投稿できるようにしたいと考えています。また、Flashは個人的にもう終わったメディアになりつつあるので、少なくとも破滅派のデータベースにFlash形式で残すのはやめたいと思います。イメージとしては、ブログを書くような感じで投稿できればと思います。
会員機能の強化
現在、破滅派で発行しているアカウントは下記になります。
- 破滅派書庫
- 破滅派安否情報
- 破滅派作業用情報
- 破滅派編集部
- 破滅派ラボ
これは一つのサービスとしては多すぎるので、統合します。「パスワード忘れてログインできません」みたいな問い合わせが多くて、その対応が大変なのもあります。
また、一言に「同人」といっても、「作品を発表したい人」「なんか手伝いたい人」「なんとなく仲間に入りたい人」「こちらが頼んで作品を提供した人」「情報を匿名のままにしておきたい人」「技術的に手伝えることがある人」など多士済々なので、そこら辺をうまく一本化したいと思います。
ビューアーの強化
現在はFlash Paperというアプリを使って縦書きを実現していましたが、僕もだいぶ技術的な進歩を遂げ、ちょっとしたアプリなら作成できるようになりましたので、これもガッツリ作りたいと思います。基本は「縦書き+綺麗なフォント」を最低達成要素とします。
- はじめはPCに対応します。これは株式会社破滅派でも電子書籍サイト作成事業に携わったのでたぶんできます。基本はFlashです。
- 次はiPhoneに代表されるスマートフォンおよびiPadやGalaxyのようなタブレットPCに対応します。これもなんとかなると思います。
- その後、ガラケーと呼ばれる普通の携帯の対応を目指します。ただ、これは諸事情あり、ある程度の資本が必要です。うまく収益源が確保でき、事業化の目処が立ったら参入します。
以上が基本的な流れです。いずれも実際に運用して自分でプログラムを書けるようになってからわかったことばかりですが、本当にきちんと実現したら大変画期的なのでがんばります。
作品評価制度の確立
破滅派が誰でも投稿できる文芸誌になった場合、どうやって「破滅派らしさ」を出していくのか? これは永遠のテーマです。
編集とはなんなのかという問いにも突き当たることになると思うのですが、僕はまず第一にとりあえず破滅派で発表できるという担保は残しておくべきだと考えています。「なんでも発表できる」という時点ですでに破滅派らしさの一端は見せられると思うのですが、「評価を下す」ことのできる権力者には、権力の側に立つ理由が必要です。
それをどうやって担保していくのかについては色々選択肢がありますが、まずは収益源を確保しないことには報いることもできないので、こうした点についても次回以降こってり書きます。
紙の破滅派再定義
現在、紙の破滅派はWebの破滅派の本番と目されているところがあります。たぶん同人諸氏も紙の破滅派がメインであり、Webはそうではないと考えていることでしょう。しかし、これは破滅派発足時に目指すところとは違った結果です。
僕の個人的な意見ですが、WebはWebならではのことを目指すべきですし、紙は紙にしかできないことを目指すべきです。現在の上下関係は望むところではありません。
そうしたわけで、Webの破滅派リニューアルに伴い、紙の破滅派再定義を行いたいと思います。これについても次回以降こってり書きたいと思います。
結びに
というわけで色々と書きましたが、ご意見などありましたらコメントをお願いします。これまで同人間のコミュニケーションを疎かにしたことは僕の不徳のいたすところでありますので、こんごともどうぞよろしくお願いいたします。
松岡ざくろ ゲスト | 2011-02-08 00:31
ブログを拝見しました。私は先月末に初投稿させていただきました。今後とも宜しくお願い致します。
文芸系サイトについての素人の意見ですが、現在、他社でもWEB発表の電子書籍作品が徐々に増えてきましたが、中々その運営サイトのカラーを見出すことはできないものです。
しかし『破滅派』は何よりもサイトのカラーが全面に出ている極めて稀有な存在だと思っています。
書き手の立場では自分の作品を多くの人間に読んでもらいたいのは山々ですが、発表の場がどこでもいいわけではありません。少なくとも私はそうです。ヒップホップのレーベルにパンクロックのデモテープを渡すような状態は的外れだと思っています。ただ、かつての『ナゴムレコード』や漫画投稿雑誌『ガロ』のようにカラーを確立した上でのごった煮は、実は理想的なのかも知れません。『破滅派』という言葉に惹かれてやってきた多くの作家の方々は作品発表の出来る貴重な場として今後も必ず残ると思います。
紙とWEBの並行はもっともな意見だと思いました。
とにかく、『破滅派』という素晴らしき存在は決して無くなってはならないと思っています。
(素人が生意気言ってすみませんでした)