戦争を知らない僕らがこの戦争の時代に、何を語れるのだろう。アウシュヴィッツとザクセンハウゼンの訪問、ワルシャワ、クラコフ、ベルリンの街並み、Winnyとオッペンハイマー、関心領域、リヒター、ゴヤ…
不条理な大幸運に飄々と忍従する中学生少年少女たちのロードムービー。 異世界にして過去世。未来にして神話時代。下劣にして荘厳。地獄にしてユートピア。 図書館にはなく、本棚にはある…
中編小説一篇・短編小説一篇収録。 中編『生贄物語』――閉鎖的な土地の因習により、三十歳になったら死なねばならない男の、三十歳の時の話。 短編『アレクサンドリア図書館』――…
どちらが現実であるかわからない。火事が鎮まればわかるだろう。 その時まで生きていたくなかった。 (本文より) 神経症歴十年を数える二十九歳の「私」は、降って湧いたようなあぶく銭を…
――みんな何かと人間を特別扱いするけど、個体の数から言えば、虫たちの方が圧倒的に多いんだよ。虫だけじゃない。地球上のあらゆる命を足し合わせたら、人間の数なんて比べものにならないくらい微々たるもの…
国会議事堂が妊娠して九ヶ月が経過した。衆議院事務局の職員・佐々木は文字通り気が狂いそうな仕事を任されていた。――来月にも国会議事堂から生まれる新生児をケアせよ。国会議事堂を妊娠させた男を捜索せよ…
ギャラリーは白い。 壁も床も天井も白く、白々しい光に溢れている。 ・・ どうですか。そんな女の子があの絵の向こう側にいるような気がしませんか。どこかに居そうな女の子でしょ。 (2018年)
青にもいろいろな青がある。 わたしはいくつもの青を想像する。 「空と海の違い、わかる?」 彼女が問う。 空と海、朝食と夢。 (2017年)
少女たちは独り言のように囁きます。 その声は歪な鏡に反射して、彼女たちの世界を虚構に包み込んでゆく。 虚構が彼女たちを語り出す。 (2022~2025年)
彼女の話は彼の腕の中で紡がれてゆきます。 (2017年)
東北の片田舎から逃げて上京するもすぐ社会の底辺に落ちぶれた、二十八歳、無職の女装男子。理解のある彼くんのレオパレスに居候し、整形費用とソシャゲに課金する金を稼ぐため今夜も客たちのもとへ通う――。…
田舎のイオンは不思議がいっぱい、女の子のおっぱいも不思議がいっぱい! ド田舎の高校生たちは宇宙の大神秘を垣間見る……!
破滅派の合評会で書いたものです。
『地球上すべての顧客の満足――サティスファクションに貢献する』というミッションを掲げる超巨大eコマース企業・ヘルメス。ヘルメスの日本法人に勤めるエンジニア・音羽芽衣は、東アジア最大を誇る物流倉庫…
第60回文藝賞最終候補作品。 「人間なんてみんな誰かの代わりでしょ?」 数年ぶりに帰省した兄・直人は亡き母に擬態する妹・紗英と父親の関係を疎ましく思うも、直人の秘密や紗英の夜ごと見る夢が明ら…
萩原朔太郎の詩から関東大震災後の朝鮮人虐殺、ドイツのホロコーストへと負の歴史と場所と時をまたぎながら思考が移り行く表題作ほか、幻想、SF、リアリズムとバラエティーに富んだ一六編を収めた著者初の短…
十八歳になったばかりのヌイはムラを出て東京に流れ着いた……。他言無用のしきたりがある特殊な村で育った特殊な声を持つ巫女の上京物語「或ル巫女ノ帰郷スルコト」、元メイド喫茶の店長と元メイドの再会を描…
破滅派は同人サークルから出発していまや出版社となりました。
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