劇作家で演出家、俳優の唐十郎が5月4日、都内の病院で急性硬膜下血腫のため亡くなった。84歳。

 唐十郎は東京都出身。明治大学文学部演劇学科に入学、在学中から俳優として活動し、卒業後「状況劇場」を旗揚げ、1967年には新宿の花園神社で「紅テント」を張って公演を行うなど、アンダーグラウンド演劇の旗手として注目された。89年に「劇団唐組」を旗揚げ後も独特のスタイルでの野外上演を各地で続けた。

 また、劇作家や小説家としても多大な功績を残した。「少女仮面」で岸田國士戯曲賞を受賞、「泥人魚」で鶴屋南北戯曲賞や読売文学賞などを受けた。小説では、83年に「佐川君からの手紙」で芥川賞を受賞。2010年に韓国の「第3回李炳注(イ・ビョンジュ)国際文学賞」を日本人として初めて受賞している。2021年には、文化功労者に選ばれた。

 12年春に転倒して頭部を負傷し、療養を続けていた。

 まさに、現代カルチャーに通じるアンダーグラウンドを開拓したスター的存在と言っていいだろう。ご冥福を祈りたい。