株式会社メディアドゥが提供する視覚障害者専用電子図書館サービス「アクセシブルライブラリー」が6月30日、株式会社インプレスホールディングスのグループ各社が刊行している電子書籍計1278点の配信を開始した。

 メディアドゥは電子書店150店以上を結び電子書籍の流通を担う電子書籍取次国内最大手。今回、インプレス、リットーミュージック、エムディエヌコーポレーション、山と溪谷社、近代科学社、天夢人、ICEが参加。これでアルファポリス、ゴマブックス、実業之日本社、スターツ出版、竹書房、日本文芸社とあわせて、アクセシブルライブラリーの協力出版社は計13社となった(2023年6月30日時点)。

 アクセシブルライブラリーは、視覚障害者を対象として市区町村または市区町村図書館を通じ、電子書籍を音声自動読み上げで提供するサブスクリプションサービス。音声自動読み上げ可能な電子書籍データを活用し、導入先の市区町村に在住する視覚障害の身体障害者手帳を携帯する人が、特別な支援なしに独力で利用できる電子図書館サービスだ。小説、趣味・ビジネスなどの実用書ほか、提供作品数は約1万6000点にのぼる。

 メディアドゥと言えば、先日、早川書房と組み、NFT(非代替性トークン)の電子書籍が付いた新書を発売するなど、出版業界において大きな存在感を見せている。視覚障害者に限らず、AmazonのAudibleなど書籍の新たな消費形態はすでに広まりつつあるのが現状だ。

 音楽の消費はすでにレコードとサブスクリプションサービスによる配信の二極化が進んでいる。今後、音声配信がより一般化すれば、書籍の流通も大きく変わるかもしれない。