瀬戸内海の男木島に存在する、私設図書館「男木島図書館」。島と人と本のために歩んできたこの図書館が、今支援を必要としている。その理由と由来を追ってみたい。

豊かな瀬戸内海の一角に、男木島おぎじまと言う小さな島がある(住所の上では香川県高松市男木町)。豊かな瀬戸内海の自然の中で遥か昔から多くの人がこの島に住み続け、1950年代には島民2000人を数えたが、次第に島民は減少し、近年は約150人~160人程が在住していた。島に存在していた小中学校も近年の少子化により休校状態にあった。

その中で2013年、瀬戸内国際芸術祭が開催され、男木島も会場の一つとなり、多くの人が男木島を訪れた。この時、芸術祭のために男木島に関するWebサイト制作を手掛けていたWebデザイナーの福井順子氏は、夫が男木島出身と言う縁も重なり家族で男木島に滞在し、家族みんなが島での生活の魅力を感じたことにより、2014年に男木島に移住した。その後、移住者の子どもが増えたこともあって島の小中学校再開運動が始まり男木島の小中学校は無事再開したが、これに刺激を受けた福井順子氏は島に存在していなかった図書館の設置運動を始める。当初は手押し車を使った移動図書館を行いつつ、以前からの島民や、付近の瀬戸内海諸島に暮らす人々、日本各地の人々の協力もあり、2015年3月に島の古民家を改装した私設図書館「男木島図書館」が開館した。こけら落としとして、松蔭浩之による作家ポートレート展「『著者近影』松蔭浩之・文芸家の肖像写真展」が開催されるなどもした。以後、男木島図書館は勿論図書館として、島のコミュニティスペースとして、また一種の観光地として順調に歩みを続けていた。

しかし、2017年秋の台風や豪雨により、古民家の屋根が破損し雨漏りと強風の吹込みが発生、多くの本が濡れたり汚れてしまう事態が発生した。5000冊の本を守るため、また島の安心できるコミュニティスペースを元通りにするためにも、修繕が必要となり、クラウドファンディングで資金が募られることとなった。修繕に当たり、古民家の風格を壊さないためにも屋根は本瓦とし、また出来る限り男木島に所縁ある品を使う方針が取られていると言う。全国の支援者により、1月3日に第一目標金額の150万円は達成されており、現在は更なる整備のための250万円が新たな目標となっている。

クラウドファンディングのコースとしては3000円から選択することができる。返礼がある物については、男木島ゆかりの本やお菓子が届けられ、さらには500,00円コースの一日館長権や100,000円コースの名前入り本棚の設置権など、図書館好きの人にとっても垂涎もののリターンも存在している。島のために頑張る図書館を支援する意味でも、あるいは図書館と言う物に深く関わってみたい人々にとっても、興味深いクラウドファンディングとなっている。関心のある方は是非クラウドファンディングに参加して見てはいかがだろうか。筆者も何らかの支援が出来ればと考えている。

男木島図書館に関する詳しい情報は下記サイトを参照のこと。