薄弱 一色孟朗(著)

彼の内なる狂気は、救済の名のもとに静かに忍び寄る。魂を解き放とうとするたび、現実と幻の境界が揺らぎ、狂気と救済が渾然一体となる。救いを求めながら、狂気の果てへと歩みを進めるしかなかった。

  1. 連載中 (最終更新: 2024 年 11 月 16 日 )
  2. 4 作品収録
  3. 10,149文字(400字詰原稿用紙26枚)

Authors & Editors 執筆者一覧

一色孟朗

一色孟朗 著者

人間の狂気を観察

Works 収録作一覧

  1. 一色孟朗

    1.

    • 小説
    • 341文字
    • 2024 年 8 月 14 日公開

      神と共に生き、神と共に歩む。 いや、ぼくはただ救われたいだけなのだ。 手を伸ばした先に神はいらっしゃるのに、ぼくが触れることができるのは空虚と無数の白いフアフアした羽虫ばかり。 羽虫はぼくの腕に触れて皆死に […]

  2. 一色孟朗

    2. 1-1

    • 小説
    • 5,247文字
    • 2024 年 8 月 14 日公開

    ㈠   「……デェ、不愉快であるからその女を突き飛ばしたと言うことかい」 ぼくの前でふんぞり返って座っている大男……小椋と名乗った刑事はぼくを睨みながら鼻で笑ったので、思わず俯いて小さく「ハイ」と答えた。 机に […]

  3. 一色孟朗

    3. 1-2

    • 小説
    • 3,489文字
    • 2024 年 8 月 16 日公開

      それまで人の存在も忘れるほどに静寂であったというのに、突然森川夫人がヒステリックに叫ぶと同時に幾らかの食器が割れる音が屋敷に響いた。 何事かと山崎が駆けつけると、泣きべそをかきながら「申し訳ありません、申し […]

  4. 一色孟朗

    4. 1-3

    • 小説
    • 1,072文字
    • 2024 年 11 月 16 日公開 更新

      小椋は上司の金谷のあとに続いて大病院の廊下を足早に歩いていた。時折すれ違う看護婦が不思議そうな表情を浮かべ、そしてすぐにアッと察する。 「なんでまたァ、こんな辛気臭いところなんですかね」 小椋の問いに金谷は […]

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