今月は新潮、文學界、群像、すばる、文藝の5誌が発売された。5誌の概観をここで紹介しよう。
新潮 2026年2月号
・【特集 素顔の丸谷才一】として、生誕百周年を迎えた丸谷才一を特集。故郷の山形県鶴岡市で行われた記念行事から、松家仁之の講演「たった一人の反乱」、川上弘美の講演「俳句と歌仙」、川上弘美×松家仁之の対談「丸谷才一、人と仕事」。さらに、発掘原稿として丸谷才一「『リアリズム』を廻って/鶴岡市立朝暘第一小学校への手紙」を掲載。三島由紀夫との対比、句作に見られる遊び心。生前に薫陶を受けた二人の後輩作家の講演・対談により、「新しい文学者」としての姿に光を当てる。
・石川直樹による新連載「光源の旅」(第1回)がスタート。ネパール・カトマンズ、八千メートル超の山々十四座を制覇したあとも冒険は続く。過去の記憶も交え綴られる、最新のドキュメント。
・蓮實重彦による創作「ポンテコルヴォ、または『純白の夜』いかがわしくも色づきて」が掲載。
文學界 2026年2月号
・【特集】「熊を考える」として、昨年の「今年の漢字」にもなった「熊」について、近くから、遠くから、考える。河﨑秋子「リアルとイメージの中の熊」、木村紅美「熊は家のまえに来た」、尾崎世界観「マイ・プライベート・アズミノ」、奈倉有里「熊の名を呼ばない」、沼田真佑「サバーバンのベア」、久栖博季「一頭の動物として」、中島岳志「熊と惑星的思考」を一挙。
・【創作】では、李琴峰「紫陽花が散る街」、小林エリカ「いろんなことあったよね」、大濱普美子「スポンジケーキ・キッチン」。
・濱野ちひろの新連載「回復について」、三好愛の新連載「そもそもすむすむ」がそれぞれスタート。
・津野青嵐による連載「『ファット』な身体」が最終回を迎える。
群像 2026年2月号
・【特集:交叉する思考】として、キャロル・ギリガン×小川公代×小西真理子による鼎談「ケアの倫理に必要な大胆さ」、金原ひとみ×関口涼子の対談「私と他者、社会へとつながる新しいジャンルを求めて」、松浦寿輝×三浦雅士「知が立ち上がる場所――交通するエディターシップ」、宮地尚子×百瀬文「「ガイアの逃亡」をめぐって――女性の身体と大地のつながりを再考するために」、蓮實重彦×工藤庸子「対話」、小川洋子×東畑開人の対談連載「秘密の読書会」、向坂くじら×紗倉まなの往復書簡「ふたりのための往復書簡」を一挙掲載。
・【創作】では、今村夏子「山登り」、くどうれいん「今朝の薔薇」、滝口悠生「庭野広の駄洒落と陰謀」。
・【小特集:ルシア・ベルリン、創作と人生】として、ルシア・ベルリンの「電話交換台」、「エルサの人生」、「リチャード・ブローティガンの思い出」を岸本佐知子による訳・解説で。
・【批評】では、安藤礼二「大江健三郎論」と工藤庸子「田辺元と野上彌生子――「往復書簡」と「日記」」を掲載。
すばる 2026年2月号
・髙樹のぶ子による新連載「小説 紫式部 墨染(すみぞめ)」がスタート。
・【小説】では、井戸川射子「大差螺旋のスケッチ」、木村友祐「殺しの時代における都市型狩猟の観察」、ウン・ヒギョン「ほかのすべての雪片ととてもよく似た、たったひとつの雪片」(訳 オ・ヨンア/詩 斎藤真理子)が掲載。
・【エッセイ】では、坂本湾「クジャク」、内田ミチル「考えすぎて忙しい」、有賀未来「ラジオ聞いてファミレス行って書いて泣いてまた書いて」。
・木村朗子による論考「復員兵のいた季節」が掲載。
文藝 2025年春季号
・【特集1 うたのことば】として、短篇では九段理江「No Time to Die」、児玉雨子「神になるつもりがないなら帰って」、日比野コレコ「内海 among the sea」、崎山蒼志「きっかけ」、井戸川射子「肯(うべな)い」、芝夏子「でも、やっぱり、おめでとう」。瀬戸夏子×青松輝による対談「『短歌ブーム以後』を俯瞰する 私性・テクスチャー・SNSをめぐって」が掲載。「わたしたちを揺さぶる“うたのことば”」として、彩瀬まる、いしいしんじ、井戸川射子、大崎清夏、大田ステファニー歓人、大前粟生、川野芽生、暮田真名、小泉綾子、児玉雨子、小指、斉藤壮馬、最果タヒ、崎山蒼志、佐藤文香、芝夏子、鈴木絢音、TaiTan、つやちゃん、年森瑛、奈倉有里、バイク川崎バイク、ピノキオピー、日比野コレコ、藤田貴大、フロクロ、細倉真弓、マーサ・ナカムラ、ゆっきゅん、吉田靖直によるうたのことば30人アンケートを実施。
さらに、エッセイ・論考ではつやちゃん「K-POPアイドル、うたにならないことばたち」、寺尾紗穂「いくつもの声がささやく―労働歌をさがして」、向坂くじら「歌わないまま、しかし歌う ―歌と詩、それから、わたしの好きなポエトリーリーディングの話」、吉田靖直「うたとことば」、鳥居咲子・soulitude「Z世代アイコン、イ・ヨンジのラップに潜む私小説性」、宇川直宏「病の歌、傷の歌 ~声帯AI中原昌也のブルース」。
・【特集2 ハン・ガンを読む ―傷と庭を抱いて】として、ハン・ガン、斎藤真理子訳による詩「声(たち)」、きむふな×井手俊作×斎藤真理子×古川綾子によるハン・ガンオール翻訳者座談会「〈ことばの杖〉をバトンする」、「11月21日、ハン・ガン作品をみんなで読む」として読書会、中村佑子「ハン・ガンを読んだ日の記憶」、小川公代「緑の導火線としての文学」、金川晋吾「撮りながら読む、読みながら撮る」、年森瑛「ずっと情けない」、待川匙「一人読書会」を一挙。
・創作では、八木詠美「アンチ・グッドモーニング」、松田いりのによる文藝賞受賞第一作「ハッピー山」、古典新訳・能、岡田利規訳「杜若(かきつばた)」がそれぞれ掲載。
・星野智幸×シン・ミナによる【新・短期集中連載】往復書簡「地球から半歩」がスタート。
・皆川博子による連載「ジンタルス RED AMBER 風配図II」が最終回を迎える。
以上、今月の文芸誌読みどころを紹介した。読書の一助になれば幸いである。

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